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  役員選考委員会の役員候補答申で、内諾を得たはずの二人が辞退すると言
う異常事態が発生し、会場は蜂の巣をつついたように混乱していた。
  早川は(もはやこれまでだ)と判断し、三役席の側を離れ、近くにいた総務部の
大西女史に、またもや坂本総務部長に筒抜けになる事を承知の上で、
  「メンバーのみなさんに、明日の10時に2階に集合するように伝えてください。
その時に三文判で良いですから印鑑を忘れないようにと・・・」
  とお願いし、自分本来の分会長席に戻る。早川が座っても右隣の高木分会長
は何も言わない。
  早川が三役席を見ると、坂本総務部長が腰をかがめ宮城会長の耳に口を寄
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せ、何事か相談している。しかし、会場の騒音で会話が通じないようにも見えるし、
緊急事態に収拾策も浮かばない様子にも見える。しばらくして、坂本総務部長が
かがんでいた腰を伸ばして、自分の席に戻り、マイクを取る。
  「えーっ、そういう事なので、とりあえず本日の理事会は終わります。この後の
理事会については追ってご連絡申し上げます」
  と理事会を無理やり終わらせた。

  早川は一人ぼっちで帰り道を歩きながら、
  (北村副会長は副会長を辞めるなんて言っていなかった。北村副会長は小谷
東5分会理事の経理部長受諾拒否から数分おいて何故あんな降板発言をした
のか?先輩の玉置副会長はずしを画策したと思われたくないと判断したのか?
もう1人の副会長候補の竹山保健衛生部長との相性が良くないためなのか?経
理部長と副会長の2人が降板すれば、この答申すべてがご破算になると判断し
たのか?さもなくば誰かがそれを指示していたのか?)

  どう考えても分からない。そして、
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  (何よりも快く受けてくれた竹山保健衛生部長に誠に申し訳ない)と思った。

  一方、早川より先に帰路についていた久井理事と小宮理事は、道すがらこんな
会話をしていた。
  「たいへんな騒ぎでしたね。それにしても、この町内会の役員改選はどうなって
いるのでしょうか?」
  と温厚な小宮理事が話す。
  「宮城会長以外みんな役員候補者になることを了解したはずだから、早川委員
長も答申したのさ。だから、その当事者がこの場に至って反旗を翻すと言うのは誠
にけしからん話だよ。坂本総務部長だって、ちゃんとまとめなければならない立場
なのに逆に油に火を注いでいるから始末に終えない」
  久井理事が冷静に分析する。
  「坂本総務部長の前職は、本人がアパレル(衣料)販売だと言っていますが、あ

んな態度で本当に服が売れたのでしょうか?」

  と小宮理事が話す。
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  「売れる訳がないよ、あれじゃあまるでアバレル販売さ」
  と言う久井理事に、
  「アバレル販売?ああ『暴れる販売』ね、そりゃいいわ、わはは」
  と小宮理事が笑う。

  翌3月14日、午前10時、早川委員長の収集で第7回役員選考委員会が開か
れた。メンバーみんなの視線が早川委員長に集まる。
  早川委員長は怒る気持ちを抑えて、
  「私の力不足で昨夜のような結果になってしまいました。前回の委員会でお話し
たように、私達の答申が受け入れられなかったという事は役員選考委員会自体が
否定されたも同然です。したがってこれ以上なすすべがありませんので、全員辞任
したいと思いますが、いかがでしょうか?」
  「その通り!」
  「異議なし!」
  とみんなが同意する。 
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第11話 ハチのムサシ その1 ★






















           

         
















































































































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