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      【番外編】




★私のお気に入り


●小説
 「猫踏んじゃったU」


なつかしの街角

忘れえぬ猫たち

小説「猫踏んじゃった」
喜劇「猫じゃら行進曲」
小説「眠れない猫」

ベトナム四十八景

デジカメ あしたのジョー


イタリアかけある記
で、早川の次の言葉を待っている。
  「続いて会長候補ですが、現宮城会長に引き続きお願いしたいと思います。ご
本人は気力・体力の衰えを理由に固く辞退されていますが、選考委員会で話し
合った結果、現状では宮城現会長がベストと考えております」
  ここで、場内が騒然とする。
  「お静かに願います。なお、本人がどうしても辞退するという場合には、役員選
考委員会としては町内会規約第12条の3項を適用させていただきたい。それは
『役員は、辞任又は任期満了の後においても後任者が就任するまではその職を
行うこととする』という項目です。次の会長が決まるまで、現宮城会長が引き続き
やっていただきますよう、みなさんの拍手をお願いします」
  早川の答申に、:現在の会場の理事達は賛成する人、あっけにとられた人、耳
が遠くてよく聞こえなかった人、意味が良く分からなかった人、それぞれで、賛同
の拍手はぱらぱらと上がった。しかし、大きなうねりとはならなかった。
  宮城会長は他人事のようにこの有様を見ていた。
  「これはいったいどうなっているんだ。これが選考委員会の答申か?何も決まっ
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ていないじゃないか!」
  最初に坂本総務部長が血相を変え文句をつけてくる。3月6日の役員選考委
員会の作戦が坂本総務部長に筒抜けになっていたのかもしれない。彼は腹の
中で「現在の総務部長の俺に一言の相談もない、こんな答申は叩き潰してやる」
と考えているのかもしれない。
  「やっぱり来たか?」
  早川はそう思いながらも、現執行部や良識ある理事の誰かが助け舟を出して
くれるのを待っていた。早川にはこの時間が長く感じた。そのうち、小谷東5分会
理事が手を上げて立ち上がり、
  「私は経理部長は出来ません」
  と声を上げる。
  早川は唖然としていた。
  (何を言っているか、私の金でハンバーグ定食をうまそうに食べて、了解してい
たくせに) と思うが、そんな事はこの席で言うべきではない。
  (ひょっとして選考委員会の答申をつぶすために、事情を知っている坂本総務
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部長が小谷理事を脅かしたのかもしれない、または高木分会長を使って小谷理
事を脅かしたのかもしれない、彼ならやりかねない)
  早川がこう考えていると、
  「私も副会長は受けられません」
  と今度は北村副会長が立ち上がる。
  (北村副会長もあんたもかい?) 早川は唖然とする。
  「早川選考委員長!一体どうなっているんだ」
  と今度は再び坂本総務部長が立ち上がって早川を攻撃する。
  (あんたら、みんなグルだって分かっちゃうだろ)
  早川は腹も立たず、笑い飛ばすしかない。
  「分かりました。私達の答申を認めないという事は、役員選考委員会自体を認め
ないという事と同じです。私達は何のために選ばれたのか?みなさんもう一度考え
てみてください。私達は全員総辞職します」 
  早川はそう宣言して、ひな壇を下りた。早川の後で、
  「どうするんだ、どうするんだ」
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  と坂本総務部長がなおも早川委員長を糾弾していた。
  (自分が何もかも壊しておいて、何を言うか・・・)
  早川はこんな町内会にいたのかと、情けなくなってきた。

  ♭ 現在過去未来あの人に逢ったなら
    私はいつまでも待ってると誰か伝えて
    まるで喜劇じゃないのひとりでいい気になって
    さめかけたあの人に意地をはってたなんて
    ひとつ曲がり角ひとつまちがえて
    迷い道くねくね
          「迷い道」 作詞:作曲:歌 渡辺真知子




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第10話 迷い道  その6 ★★★★★★






















           

         

























































































































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