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 「猫踏んじゃったU」


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忘れえぬ猫たち

小説「猫踏んじゃった」
喜劇「猫じゃら行進曲」
小説「眠れない猫」

ベトナム四十八景

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イタリアかけある記

坂本総務部長の理不尽な横槍で辞退させられた経過がある。その事件の帰りに、
玄関で先田副部長に鉢合わせした早川は「あんたに総務部長をやって欲しくてみ
んなが投票したのに・・・」と思わず愚痴をこぼした事があった。そんな一件もあり、
先田副部長と同年齢の早川は、
  「先田さん、こんどこそ総務部長をやれよ」
  と檄を飛ばす。
  先田副部長は早川の言葉に観念したのか、
  「わ、分かりました」
  と同意する。
  ほっとした早川は、
  「という事で、みなさんのご協力で、会長以外の三役の候補者が出揃いました。
後10日間ほどお時間をいただきたき説得に回りたいと思います。長い時間ご検討
いただきありがとうございました」
  と会議を終えた。
 
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  これらの腹案が吉と出るか凶と出るか、早川はこの後、候補者と精力的に交渉
を続ける。
  まずは、副会長候補の竹山保健衛生部長との交渉である。早川より少し年上と
見られる彼は、以前小さな測量会社を経営していたそうである。町内会が初めて
集団資源回収を始めるにあたって、回覧板の雛形を作ためパソコンに強い早川
がお手伝いした事がある。その経験からすると、彼ははったりや駆け引きのまった
くない、実直で温厚な人柄で、信頼できる人と感じていた。
  早川はファミレス・ゲストで竹山保健衛生部長と落ち合い、役員選考委員会の
これまでの経過を正直に話して、副会長候補を受けていただくようお願いする。
  彼は、役員選考委員会なかでも早川委員長の窮状を理解して、
  「分かりました」
  と静かに答える。
  早川が、選考委員長として初めての候補者の了解をいただいた瞬間だった。
  「最終的には3月13日の第11回理事会の承認が必要となります」
  と、早川はくつがえる事はよもやありえないと思いながらもつけ加える」
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  「分かっております」

  竹山保健衛生部長はあくまでも冷静だった。

  弾む心を抑えて、早川は高木分会長と会い、小谷理事の分会長・経理部長兼
任の件を相談する。しかし、高木分会長は、
  「せっかく分会長の後任を見つけたんだから、余計な話は止めてください。それ
で後任の話が壊れたらどうすんのさ?」
  と早川の提案を頑なに拒否する。
  「彼なら分会長も経理部長も兼任できますよ」
  早川が何とか高木分会長の理解を得ようとする。
  「私は、12月10日、坂本総務部長に会って辞表を渡し、『後任は小谷理事に受
けてもらいましたから』と了解してもらったんだから・・・」
  「そこまでは良く分かりました。しかし、経理部長も分会長同様大事なポストです
から、両方受けていただくよう私が責任を持って説得しますから」
  「本当に困るんだから・・・」
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  高木分会長はまだ納得しない様子だった。

  
  「やれやれ」と思いながら、早川は次に小谷理事と会って話をする事にした。
  町内会の住宅地図を見て小谷理事の自宅を確認すると、歩いて数分のところ
にある。不在なら郵便受けに伝言票を入れてこようと、訪ねる。彼の自宅は30
年ほど経った大きな家で、呼び鈴を押すと本人らしき人が出てきた。
  彼は小柄で腰が低く、早川の用件にいかにも元銀行マンというそつのない受
け答えをした。どうやら1人暮らしのようで、早川はそこに上がるのもはばかられ、
  「ちょうど昼飯時ですから、近くのハンバーグ・レストラン、ドッキリ・ピンキーで昼
食を取りましょう」と小谷理事を連れ出す。
  ランチが出てくる間、早川は小谷理事に経理部長が辞める事情を話し、
  「町内会といえども経理部長は非常に重要なポストなのに、代わりがいない。何
とかお願いできないでしょうか?高木分会長からは分会長の後任を引き受けたと
言う事も聞いていますが、経理部長と分会長の両方を引き受けていただけないで
しょうか?」
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第10話 迷い道  その3 ★★★






















           

         


























































































































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