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小説「猫踏んじゃった」
喜劇「猫じゃら行進曲」
小説「眠れない猫」

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  北村副会長に話を持ちかけてから、すでに1週間が過ぎていた。しかし。何の
返事もない。
  早川は会長候補の本命たる大沢副会長と館山研修部長に断られ、苦し紛れに
北村副会長の名前を上げたが、
  (町内会長が女性と言う案は決して奇抜な話ではない。今や各国の宰相は女
性が増えているし、わが国の都道府県の首長も女性の進出が進んでいるではな
いか。彼女の性格はきついから、わが町内会のようなはっきりしない男性理事をリ
ードするには持って来いなのでは?)
  と早川は自分勝手なへ理屈を立てていた。
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  そう自分に言い聞かせ、北村副会長に電話をかけて、再度ドッキリ・ピンキーに
お出でいただく。
  「前回お願いした会長候補の件、お考えいただいたでしょうか?」
  と早川が尋ねる。
  しかし、北村副会長は、
  「私には無理です」
  との一点張りである。 
  かと言って、会長候補の代案を上げるわけでもない。
  話が袋小路に入った感のある早川が、
  「ところで、副会長候補にはどなたがふさわしいでしょうか?」
  と尋ねると、
  「福祉部の森村副部長さんなんかはいいのでは?」
  と答える。
  「ありがとうございます。参考にさせていただきます。ご承知でしょうが、これは
あくまでも内々の話ですので・・・お忙しいところ、本日はありがとうございました」
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  とお礼を言って別れる。この時、早川は北村副会長が彼の名前を上げた理由
をよく考えて見なかったのが後々悔やまれてならない。

  こうして会長候補が決まらぬままに、2月13日の第10回理事会を迎えた。
  早川役員選考委員長は、理事会の議案審議終了後、当初の目論見どおり「第
1回役員選考委員会の報告と承認について」を上程する。
  早川は「過去の選考方法を検証した結果、今回は従来どおり、役員選考委員会
で候補者を推薦したい。その方法は、まず最初に会長を選び、その後会長の意向
に沿って他の三役(副会長・総務部長・経理部長)を選ぶ。そしてそれぞれのポスト
が有機的に機能するようにしたい」と報告し、さらには「そのため副会長は現在の
3名から2名体制にしたい」と提案した。
  前回の選挙による選考方法はいろいろもめただけに、今回の提案は論旨に矛

盾はなく、まだ固有名詞が一般理事達には知れ渡っていないと見え、なんなく承
認された。
  第10回理事会後も、早川は北村副会長と接触し、会長候補を引き受けてくれる
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よう交渉する。しかし、良い返事が得られない。 早川は(どこかで誰かが邪魔をし

ているのか?)とさえ思ったほどである。
  こうしている間にも、2月20日付けで大林 北1分会長(前会長)から「家族の
介護のため」と言う理由で辞職願いが提出されていた。

  北村副会長との交渉がこれ以上進展しないと思った早川は、2月22日に第5
回役員選考委員会を招集し、善後策を検討せざるを得なくなった。
  「私の力不足で、このままでは3月13日の第11回理事会に新役員候補者を
答申できません。肝心の会長候補者ですが、先の3名のほかに名前は挙がって
いません。ですから、去る12月27日に辞表を出してはいますが、現在の宮城会
長に続投していただくようお願いするしか道はないように思います。したがって当
初の方針とは大きく違いますが、会長以外の候補者を先に決めて、外堀を埋め
てから、宮城現会長に話を持ちかけるしかないと思います。もし、みなさんのご賛
同が得られればそのように方針を転換したいと思いますが、いかがでしょうか?」

  との早川の提案にメンバーはどうしたらよいものか、思い思いに考えている。
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第10話 迷い道 その1 ★






















           

         
















































































































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