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小説「猫踏んじゃった」
喜劇「猫じゃら行進曲」
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なくとも結構です。年が明けるまでよくお考えいただけないでしょうか?」
  「年が明けても結論は同じさ」
  「そうは言わないで・・・年明けにもう一度会ってください」
  早川はそこまで言うのがやっとだった。こうして大きな宿題を抱えたまま早川の
平成24年は終わった。
 
  後日、役員選挙管理委員会の書記、総務部副部長の大西女史から聞いた話
では、現宮城会長は12月27日付けで、体調不良を理由に辞任届けを出してい
たそうである。暮れも押し迫っていたから、彼女は早川選考委員長に知らせなか
ったのか、ある意図を持って知らせなかったのか、真意のほどは分からない。ま
た、宮城会長の辞任理由は額面どおりだったのか、会長候補に大沢副会長の名
前が浮上したためなのかは分からない。

  年歳も明けた平成25年1月10日、早川は大沢副会長にファミレス・ゲストに再び
お出でいただき、会長候補になって欲しいと懇願する。
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  「なんぼ頼まれても私の気持ちは変わらんよ」 大沢副会長はびくとも動かない。
  「しかし、そこを何とか・・・」
  早川は粘るが、大沢副会長は頑として首を縦に振らない。どうも意思は固いよ
うである。早川としても(これ以上お願いしても無理か?)と思わざるをえない。早
川にしては高邁なる理想を抱えて出陣したが、第一歩で退陣せざるを得ない。
  「わ、分かりました。たいへんお手数をお掛けしました。代わってと言っては何
ですが、会長候補にふさわしい方は他にどなたがいるでしょうか?」
  大沢副会長は腕組みをして、天井を見上げていたが、しばらくして、
  「前回選考委員長を務めた館山研修部長なんかいいんでない?」
  と答える。
  「初めて理事全員参加の選挙方式を取り入れた方ですね」
  早川は思い出していた、彼は2年前の役員選考でもめた時にも、冷静に手際よ
く事を進めていた。
  「そう。ま、本人が受けるかどうか分からんが・・・」
  大沢副会長はぽつんと一言付け加える。
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  「良い考えをいただきありがとうございました、助かります。再度選挙委員会を開
き、皆さんの賛同を得て館山研修部長と交渉したいと思います」
  「ご苦労さんだな・・・」
  「いいえ、私も町内会での最後の仕事ですから・・・ありがとうございました」
  と、早川は大沢副会長に笑顔を見せたものの、理想とした大沢副会長の会長
候補の目が消えてしまった。囲碁で言えば、大構想をもくろんだ布石の第1手で
つまづいてしまったようなものである。なお、大沢副会長はこれ以上役員選考に
係わりたくないかのように、この日、1月10日付けで理事辞職願いを総務課に提
出していた。
  なお、偶然ではあるが、同日、1月10日付けで坂本総務部長も辞職願いを宮
城会長と選考委員長宛に提出していた。理由を体力ならびに精神力の減退とし
ているが、現職の総務部長なのに役員選考について何の相談もないと感じたか、
続投するかどうかを問われなかったためか、あるいは会長候補に上らなかったせ
いか、真意のほどは分からない。

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  1月16日、早川選考委員長は沈んだ心を抱えたまま、第2回選考委員会を召
集する。そこで早川は、大沢副会長との2回の交渉経過をメンバーに事細かく報
告する。もちろん歴代の町内会長の話を除いてだが・・・そして次の会長候補を
当たるべく協議する。
  「大沢副会長の推薦する館山研修部長がいいんじゃない?男らしいし・・・」
  女性の西 総務部理事がそう言って、メンバーの顔を見回す。
  「異議なし」「異議なし」
  とみんなが賛成する。
  こうして早川は全員の後押しを得て第2段の交渉に向かう。

  大沢副会長と同様、館山研修部長との会談はファミレス・ゲストにて行う。彼
は早川の突然の呼び出しに、怪訝な顔をしている。
  早川はまず今回の役員選考方法について説明し、それに基づいた会長候補
大沢副会長との交渉経過を包み隠さず話す。そして大沢副会長が受けられない
とした
理由も正直に説明する。
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第9話 ひょうたん島  その5 ★★★★★






















           

         

























































































































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