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による方法を採用した。この方法は、一見公平で理事の総意を反映しているかに
思われたが、人物本位ではなく、人気投票的色合いとなり、結果として選ばれた
三役に縦横の連携が見られず、議事運営に支障を来たした。
  したがって両方法とも一長一短はあるが、要は刀と同じように使い方の問題で、
今回は今一度原点に戻り、@の選考委員会による選考方法を採用する事とした
い。具体的には、町内会の向かうべき方向と課題をきちんと把握し、町内会役員
を強力なリーダーシップで導くような、意欲ある、かつ責任感のある人物をまず会
長として選考し、その会長と相談の上、副会長以下を選考し、各ポストの機能が
発揮されるにして行きたい。
  という事になった。

  「この方針について翌年の2月13日(水)の第10回理事会においてまず承認を
得ることにしたいと思います。これは委員会の出した結論ですから、却下という事
にはならないと思いますが、そう言いましてもその日まで待っていては時間が足り
ませんので、一歩先に進む必要があると思います」
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  との早川委員長の提案に、
  「と言いますと?」
  この中では最年長の女性理事、塩田青少年部長がたずねる。
  「さきほど申し上げましたように、現状では三役はみな平等で、誰が会長なのか
分からない有様ですから、順番としてはまずは会長候補を決めてからその他の候
補を選んでいきたいと思います。ですから肝心要の会長職についてはあらかじめ
年内にめぼしをつけて小当たりしておく必要があると思います」
  早川委員長の提案にみんながうなづく。
  「ところで、どなたが会長候補にふさわしいと思いますか?」
  早川の質問に、メンバーは上を見たり横を見たりして考えている様子である。し
かし、他のメンバーの思惑を懸念してか、誰も候補者をなかなか口に出さない。 
  しかし、先田副部長が口を切る。
  「早川委員長が良いと思います」
  と言って早川の顔を見る。それまで下を向いて議事録を記録している書記の大
西女史が驚いたように顔を上げ先田副部長の顔を見る。 (あんた、何を言うの?)
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という顔である。
  早川は、一瞬びっくりして(先田副部長は私の本心を探ろうとしているのか?)と
も思うが、彼はいつになく真剣な顔をしていた。
  早川は居住まいを正して、
  「委員長が自ら会長候補となるなんてありえませんよ、それじゃあまるでお手盛り
人事じゃないですか?先ほど委員長を引き受けるときにお話したように、私は来年
度には町内会役員を辞めるんです」
  と笑いながら一蹴する。
  場はまだざわついていたが、早川は他の候補を求める。
  「塩田先輩、会長候補はどなたがよろしいでしょうか?」
  青少年部長の塩田女史は名指しに驚いたものの、ちよっと逡巡しながら、
  「副会長になったばかりですけれども、大沢副会長なんかはどうかしら?」
  と答える。
  「みなさん、よろしいでしょうか?」
  と早川はみんなの顔を見ると、黙ってうなづいている。
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  「それでは、大沢副会長が受けていただけるかどうか分かりませんが、年内に
本人の意向をお聴きしたいと思います。微妙な話ですから、大勢でお聞きする場
合ではありません。よろしければ私がみなさんを代表してみなさんの意向をお伝
えしたいと思いますが、いかがでしょうか?」

  と早川委員長がメンバーに訊ねる。
  「異議なし」「頼みます」
  とメンバーから声が上がる。
  「結果は、年明けの第2回役員選考委員会で報告いたします。日時は追って総
務部より連絡していただきます。打診の件についてはくれぐれも極秘にお願いした
いと思います。まとまるものもまとまらない可能性が十分ありますので・・・それで
はこれで第1回役員選考委員会を終わります。長い間お疲れ様でした」
  と早川は閉会する。
  時計を見ると、会議は2時間をゆうに超えていた。
  (果たして大沢副会長は引き受けてくれるか?そうなれば良いのだが・・・)と早
川はひそかに私淑している人だけに期待に胸が弾んだ。
 

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第9話 ひょうたん島  その3 ★★★






















           

         


























































































































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