「早川分会長、何ですか？」
「この規定を見ると、各ブロックの代表の他に総務部代表１人とあります。ふつう
会社では、総務部は委員会の召集や会議室の設営するなど事務局に徹するもの
で、委員会のメンバーには入らないのですが・・・おかしいじゃないですか？」
「ここは町内会です、町内会のやり方です」
「もう１つ、制定年月日の日日が記入されていませんが？」
「えーっ、ちょっと待ってください」
坂本総務部長は事務局と相談している。しばらくして、
「平成２２年４月２５日です」
と答える。
「それじゃあ、議事録を見せてください。誰と誰が署名していますか？」
「・・・」と答えられない。
「本当に理事会で承認されたのか？これはおかしいよ」
久井理事も声を上げる。会場が騒がしくなってくる。
坂本総務部長はふたたび事務局席に近づき、先田副部長と大西女史としばら
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く探している振りをしてから、なにか相談している。かなり間をおいて、
「議事録は今手元にありませんが平成２２年４月２５日に間違いありません」
と答弁する。
このやり取りを見ている他の理事たちは「坂本総務部長の答弁はいつもの事
だ」と驚かない。
ひそひそ話が一段落すると、坂本総務部長は、
「そういう事ですから、各ブロックは１２月１２日までに選考委員を総務部に報告
してください。」
と質問を打ち切る。
早川が憤然として、帰り支度をしていると、いつも黙々とお祭りの資材を倉庫か
ら出し入れしている益田施設副部長がそっと側に寄って来た。
「あの沢口前経理部長原案の『役員選考委員会規定』は理事会で否決された
事は間違いありません」
と早川を慰める。
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こんな経過があって、１２月９日(日)、早川の所属する東Ｂブロック役員会が役
員選考委員を選ぶべく、町内会館の２階の小部屋で開かれた。
「それでは、誰か候補者を推薦願います」
山田事務局長がみんなの顔を見回す。
「はい、早川分会長を推薦します」
と北村副会長が発言する。
早川はびっくりする。２年前の改選期でも北村女史から内々打診され「もっとふ
さわしい人がいるのでは？」と断っているからである。それはさておき、
「私は来年度は役員を辞めたいと思っていますから・・・」
と早川はすかさずお断りをする。
「それでもいいですからやってください」
と北村副会長がさらに早川を推す。
「そうだ、そうだ」
久井理事が援護する。玉置副会長と坂本総務部長は何も言わない。北村副会
長は古株の役員達に根回しを終えているのだろうか？先田副部長・高木分会長
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など比較的経験の浅い理事達は成り行きを見守っている。
頃合を見て、前回の選考委員の山田事務局長が終わりを告げる。
「それじゃあ、早川分会長に選考委員をお願いしたいと思います」
狭い部屋の中でぱちぱちと賛成の拍手が鳴る。早川はこれ以上抵抗できず、
観念するしかなかった。
「それじゃあ早川分会長よろしくお願いします。それじゃあ、次の議題の見回り
活動についてに移ります」
山田事務局長の一言で、所管している北村副会長が「坂本総務部長が兼務す
る東６分会と大林元会長の北１分会では具体的な仕組みを作りつつある。遅れて
いる分会も早急に取り組むべきである」と話す。早川は（北村副会長がこの場で
なぜこんな話をするのか、推進者に敬意を表したのか？）疑問に思う。
早川は一方で（自分がなぜ選考委員に推薦されたのか）考えていた。
まずは、当初１２月５日(水)に忘年会をかねて設定されていた東Ｂブロックの役
員会がなぜ流れて今日になったのか？これもおかしな話である。５日までに北村
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