マスコミに「オレオレ詐欺」もしくは「おれおれ詐欺」というが言葉初めて登場したの
は、2003(平成15)年2月13日の朝日新聞・鳥取版だった。
その内容を抜粋すると、
「A容疑者は99年8月ごろから02年12月頃までの間に、無作為に電話をかけ、
(鳥取)県内や島根県、大阪府内に住む男女11人に対し、電話の最初で『おれお
れ』と注げて、相手の息子や友人らを装い、『生活費が必要』『パソコンがほしい』『サ
ラ金へ返済できない』などと持ちかけ、自分や知人名義の銀行口座や郵便局口座
に計1067万円を振り込ませ、だまし取った。(中略)県警はこの手口を『おれおれ
詐欺』として『電話対応は冷静に、相手の声や口調をよく確認して欲しい』と注意を
呼びかけている」
ちなみに、2004(平成16)年11月26日朝日新聞では、
「警視庁によると、03年2月、鳥取県警米子署が初めて『オレオレ詐欺』という
言葉を使い、各地の県警に広がった」と報じている。
ただし、オレオレ詐欺という呼称は、じょじょに犯罪の実態と離れていきました。
電話をかける人が個人名義を名乗るようになったり、警察官や弁護士などの身分
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を名乗るようになつたり、手法の多様化が進んだためです。
(以上:ビジネスオンライン「オレオレ詐欺の派生語を探る」)
このような経過により、現在では「オレオレ詐欺」をも含む「振り込め詐欺」という
呼称が一般的になっている。
警察庁のHP「振り込め詐欺」によれば、
「振り込め詐欺」と「振り込め詐欺以外」を合わせて「特殊詐欺」と定義し、
「振り込め詐欺」には、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金
等詐欺があるとしている。
また、「振り込め詐欺以外」には、金融商品取引、ギャンブル必勝法情報、異性
との交際あっせん、その他、があるとしている。
「2010(平成22)年の被害発生件数と被害額」は、
振り込め詐欺 6,637件 約100億8,805万円
振り込め詐欺以外 251件 約 11億5,923万円
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( 特殊詐欺合計) 6,888件 112億4,728万円
*事後、ATM引出額を含む、実質的な被害額
となっており、警察庁他の懸命な振り込め詐欺被害防止アドバイスにもかか
わらず、4年後の
「2014(平成26)年度の被害発生件数と被害額」は
振り込め詐欺 11,256件 約379億7,828円
振り込め詐欺以外 2,136件 約185億7,241円
( 特殊詐欺合計) 13,392件 約565億5,069円
*事後、ATM引出額を含む、実質的な被害額
となり、被害発生件数と被害額ともに大幅に増えている。
(以上数値は、警察庁HPより)
警察庁HPの2011(平成23)年の統計によれば、被害者を年齢的に見ると、
60代から80代が圧倒的に多く、特にオレオレ詐欺に限れば、その年代が突出
している。
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消費者庁HPの2008(平成20)年の統計によれば、被害者を男女別に見る
と、架空請求詐欺や融資保証金詐欺ではほとんど差がないのに対して、オレオ
レ詐欺と還付金詐欺では、女性のほうが圧倒的に高くなっている。女性の被害
者は、60歳台で男性の3倍、70歳台以上で男性の2倍ほどになっている。
(以上、HP「振り込め詐欺の心理学−特にオレオレ詐欺について」より)
また、警察庁が2012(平成24)年10月29日、被害者や家族から聞き取り調
査を行った結果では、
被害者は81%が女性。1人暮らしは31%で、夫や家族といる人が62%だっ
た。独居高齢者が被害に遭いやすいというイメージと異なり、同居親族がいても
安心できない実態が明らかになった。
家族への調査では、回答した163人のうち「被害者の判断力や記憶力に問題
がないと考えていた」人が71%にのぼり、家族が「だまされるかもしれない」と思
っていたケースは6%だけ。被害者自身も92%は「自分は大丈夫だと思った」「
考えたこともなかった」と回答。過去に同種被害に遭ったことがある人は4%だっ
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