きれいな花の写真

デジカメ千夜一夜

かんたん酒の肴 

おじさんの料理日記 

私のCD放浪記

私のCD放浪記
      【番外編】





なつかしの街角

忘れえぬ猫たち

小説「猫踏んじゃった」
喜劇「猫じゃら行進曲」
小説「眠れない猫」

ベトナム四十八景

デジカメ あしたのジョー


イタリアかけある記
  12月に入ると、町内会の分会長は忙しい。
  年内に班長を通じて「広報さっぽろ1月号」を各家庭に配布しなければならない
し、明年1月4日までに班別世帯数調査を回収し提出しなければならない。
  同じく明年1月4日町内会開催の新年交礼会に各分会内の協賛企業が出席する
か否かを調べ、出席する場合は会費を徴収しなければならない。かつては招待制
だったが、小中学校の校長や東区役所の出先の長も出席するから、会費を徴収す
ることになったようである。 
  また、町内会とさっぽろ市と共同で行う排雪事業を各家庭に通達し、排雪費を1
月末日までに徴収し収めなければならない。
  この他、12月20日には子育て会のクリスマスがあり、12月22日には小学校
の終業式に合わせた交通部主催の早朝街灯啓発があり、協力できる人は参加し
て欲しいとの要請がある。

  年が明けて、平成24(2012)年1月7日、土曜日の午後5時、東野町内会恒例
の新年交礼会が開催された。
117

  早川が開会の10分前に町内会館へ行くと、廊下で玉置 美恵副会長とばったり
出くわす。かんたんな挨拶の後、玉置女子が、
  「早川分会長、去年の11月、駅前で牛タン屋へ入って行くのを見たわよ・・・」
  と言う。
  「ああ、元の会社の後輩達ですよ。早いけれども忘年会をやってくれたんです」
  早川が答える。
  「あら、いいわね。その後その近くのカラオケ?」
  「いいえ、一軒で終わりですよ」
  「そう?それはさびしいわね、今度カラオケに行きましょうよ」
  町内会夏祭りの盆踊りで北海盆唄も歌う玉置女史は喉に自信があり、カラオケ
では何曲も歌う。
  「今度また機会がありましたら・・・」
  と早川は草々にその場を立ち去る。

  「ボケ防止にカラオケが良いと言うのは間違っているな?」
118

  早川は日頃の玉置副会長の発言を聞いて思っていた。毎回言う事が違ってい
るのである。
  一例が、夏祭りのとうもろこしの仕入れ価格と本数である。計画段階で「例年よ
り本数が少ない」という理事の声に、「今年は作が悪く品質も落ち、価格も例年よ
りも高かった、そのためいつもより少な目にしました」と言いながら、反省会の時に
は「価格が安く、物も良かったようで、あっという間に売切れてしまいました。来年
は本数をもっと増やしたい」と答えている有様である。
  責任逃れなのか?政治家の答弁なのか?本当は前の発言を覚えていないの
か?早川には理解できなかった。理事会で発言する三役も山内経理部長を除き
事前に発言要旨をまとめておいていない。理事達も聞こえているのか聞こえてい
ないのかメモを取っていない、そして両者共に過去の発言を覚えていない。理事
会では一事が万事、こんな有様である。まして、肝心の議事録を取っていないか
ら「言った、言わない」の水掛け論となる。
  「忘れたふりをしているとしたら狸だし、もしそうでないとしたら、みんな認知症
ではないのか?」
119

  早川はつくづくそう思う。

  早川の脳裏に突然歌が流れる。

  ♭ いつのことだか 思い出してごらん あんなこと こんなこと あったでしょう
    うれしかったこと おもしろかったこと いつになっても わすれない

    春のことです おもいだしてごらん あんなこと こんなこと あったでしょう
    ぽかぽかお庭で 仲良く遊んだ きれいな花も 咲いていた  ・・・
    
          「思い出のアルバム」 作詞者 増子 とし 作曲者 本多 鉄麿




120
タイトルイメージ   タイトルイメージ 本文へジャンプ



第5話 思い出してごらん  その6 ★★★★★★






















           

         


























































































































前のページへ 次のページへ


トップページへ戻る