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  花火の線引きではこんな事があったが、定刻に盆踊りが始まると、早川たちは
当面何もすることはない。公園の東境界前のゆるやかな斜面に腰掛け、盆踊り
を見ていた。
  「さっき、何をもめていたのさ?」
  三役と早川たちの動きを遠くから見ていた久井理事が早川のところに寄ってき

た。

  早川は、吸っていた煙草の火を消して、事の経過をかいつまんで話す。
  「そうだったのか?宮城会長と坂本総務部長の関係は相変わらずだね(笑)・・・
それはそうと、さっき花火打ち上げの資格と言ったが、そんなものはないよ・・・」
  久井理事が疑問をはさむ。
  「ないって?宮城会長は確かに言ったぞ・・・違反すると資格が奪われると・・・」
  早川が確かめるように小宮理事の顔を見る。
  「言った、言った」  小宮理事が早川の言葉を裏付ける。
  「花火師は国家資格でもなんでもない、民間資格だよ。製造作業をするなら『火
薬取締法』に定める保安管理技術の免許が必要だけれどもね・・・」
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  久井理事が事も無げに答える。久井理事は、若い頃、東大阪の町工場で働い
ていたので、その頃花火に関する知識を習得したのかもしれない。

  いわゆる「花火師」は俗称で、免許などの資格があるわけではない。
  花火は製造から消費まで「火薬類取締役法」で規制されている。特に製造作
業をするには、火薬類取締法に定める保安管理技術の免許を取得する必要が
あり、消防署等に届け出をしなければならない。しかし、花火の打ち上げについて
はこの限りではない。
  花火は一般的に販売されるのは「玩具」、花火大会などに使用される花火は
「煙火」と区別され、花火大会で打ち上げる人は「花火師」ではなく「煙火師」と呼
ばれる。
  「煙火師」には免許などの資格があるわけではないが、業界団体である社団
法人日本煙火協会が、煙火消費従事者の技能を証明するために、「煙火消費保
安手帳」を交付しており、おおむねこの手帳の所持者を「煙火師(俗称:花火師)」
と呼んでいる。この手帳を交付してもらうには、煙火店(花火店)に所属し、技能を
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認められる必要がある。
  煙火打揚げ従事者手帳制度は、打ち上げ中の災害の防止と作業の安全の確
保を目的とし、手帳所持者には毎年保安講習を受講する義務が課せられている。
なおかつ、花火打ち上げの際には保安講習受講の証として手帳を携帯すること
を義務付けしている。
  また、花火の打ち上げに際しては、市町村の消防署長に「煙火打ち上げ・仕
掛け届書」を提出する必要があり、日時場所・周囲の状況・煙火の種類(打ち上
げまたは仕掛け)・サイズ・数量・目的・直接従事する責任者氏名などを記載し、
打ち上げまたは仕掛け場所の略図を添付しなければならない。

  「そうなんだ・・・それにしては、宮城会長も坂本総務部長もあたかも国家資格
である『花火師』という資格を持っていて、違反すると資格が剥奪されるみたいな
大仰な話し振りだな・・・」 小宮理事が猫だましにあったように言う。
  「まわりが何も知らないから、そんな言い方になるのかもしれないなぁ」
  久井理事が事も無げに言う。
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  「まるで、花火の権威者みたく振舞っているよ」
  一時でも宮城会長の言葉を信じた早川も苦笑いを禁じえない。
  「上に立つものは、何でもいいから他人より優れたものがあると言いたいのさ」
  久井理事が言う。
  「人間的な温かさとか、包容力とか、指導力とか、カリスマ性とか、もっと違うも
ので威張ればよいものを・・・」  早川が呟く。
  「そんなの望むだけ無理、大林前会長だってなかったっしょ?」
  小宮理事がシビアに言う。
  「まったく求心力がないよねぇ、町内会員も役員もそれを求めていないのかねぇ
?・・・だとすると、そういう人を会長に選ぶ会員も役員も悪いという事になる」
  早川が続ける。
  「そういう論理も成り立つけれども、たかが花火の打ち上げぐらいで威張らなくて
もいいんじゃない?」  距離を測るのに体よく使われた小宮理事が呟く。
  「そもそも、花火の打ち上げを宮城会長や坂本総務部長が自らやるというのが
分からんよ・・・外部に委託すれば済む話でしょ。三役は役員全体の動きを把握し、
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第3話 あんたが大将  その3 ★★★






















           

         



























































































































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