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  「みんな、何してんの?早く花火の線引きをしなさいよ、後20分で盆踊りが始ま
るのよ?」
  北村副会長が早川ほか数人の理事達に命令する。
  「またか?」
  早川はいつもながら北村副会長の物言いにむっときていた。

  今日は8月7日の日曜日、東山町内会の夏祭り当日である。役員たちは、ラジ
オ体操が終わるとゆっくりする暇もなく午前8時には町内会館に集合していた。午
後1時から夏祭りは始まる。
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  彼らは夏祭りの資材を狭い倉庫から出して、会場となる東野グリーン公園へ行

くトラックに積み込んでいた。今日の予想最高気温は30℃、朝から気温がどんど
ん上昇する。資材は重くて数が多く、会館での積み込みと会場での下ろし作業は
重労働である。それが済むと、次はテントなどの組み立てで、役
員たちはみんな
汗だくであった。

  会場には、昨日から「東野町内会夏祭り」の看板を掲げたやぐらが立っており、
腰に紅白の幕が巻いてある。やぐらから公園の端まで提灯と万国旗をぶら下げ
た電線が四方に引かれ、旗が風にたなびいている。

  男性役員たちの奮闘で、小1時間もすると、南正面入り口には夏祭りの大きな
立て看板が立ち、中に入ると、右手には受付や町内会と商店街の出店のための
テントが4つ並び、その道を道なりに通って行くと突き当りには演芸用舞台と来賓
のための控えのテントが出来る。正面入り口の左手は幹線道路を背にして子ども
会やおやじの会のテントが2つ立ち並ぶ。
  早川は、盆踊りのやぐらと屋台のテントの設置が終わると、焼きソバ係りをする
ことになっていた。しかし、この暑さでテントの中で火を使うというのは人一倍汗か
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きの早川には耐えられない。そこでとうきび係りを志望する。

  午後1時、夏祭り開会合図の花火とともに、広い公園には老若男女がどっと集ま
る。消防屈折車試乗のために並ぶ子供達と親達、それを見物するより冷たい氷菓
子やおでん・とう
きび・焼きソバにを求めて群がる子供と大人、演芸用舞台前で椅
子席を陣取りするもの、などなど・・・公園内は人で埋め尽くされた感があった。

 早川がとうきびをゆでていると、公園奥の演芸舞台から、宮城会長の開会挨拶、
太極拳、フラダンスショー、ヨサコイショー、歌謡ショー、エレキバンド、歌謡ショー
などの音声が時間の経過とともに聞こえてくる。
  時間の経つのは早い。早川が本日分のとうきびを茹で上げ、道具の後片付け
していると、時計は午後5時近くになっていた。

  やぐらの下では、数人の役員がやぐらの下に集まり、午後6時から始まる盆踊
りのため
に水をまき、学校のグランドでよく見かけるライン引きで同心円を描いて
いた。
  早川が、
(やれやれ、とうきび班の今日の仕事は終わった。盆踊りまで一服す

るか?)
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  と思ったのも束の間、そこに宮城会長がやってきたのである。

  問題はここから始まった。
  「おい、花火打ち上げの線引きをするから、5名ほどついて来い」
  と今日の仕事を終えた早川らとうきび班を呼び寄せる。
  宮城会長はみんなを花火の打ち上げ地点に連れて行く。花火の打ち上げ地点

は公園の北の端、演芸用舞台の左側である。ここが盆踊り会場からいちばん遠い
からである。
  宮城会長は集まったみんなを前に、
  「みんな知っての通り、昨年の花火の殻はここから200メートルも離れた町内
会館まで飛んでいた。だから今年は花火を3合玉から2合玉へと小玉にして、さら
に会場に線引きし、観客をできるだけ離す事にする」と大声で演説する。総会・理
事会ではどもりがちな彼も相手
が少人数だとどもらない。
  「えーっ、そうなの?」

  初めて聞く話に小宮理事が素っ頓狂な声を出す。
  「観客はここから30メートル離さんといかん、あんた、巻尺の端を持って南に歩
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第3話 あんたが大将  その1 ★






















           

         


















































































































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