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私のCD放浪記

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小説「猫踏んじゃった」
喜劇「猫じゃら行進曲」
小説「眠れない猫」

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デジカメ あしたのジョー


イタリアかけある記
市」をうたい文句に掲げ、ラジオ体操の普及に努めるとともに、NHKの朝ドラ「花
子とアン」の人気に便乗し、「甲州弁ラジオ体操」のCDを製作し発売した。甲斐市
役所はこのCDは県外の「ふるさと納税者」に無料で配布している。
  これは「ふんじゃ〜甲州弁ラジオ体操第1やるじゅんけ〜よっちゃばって笑顔で
しやしよう」という元気な声で始まり、「腕はめえから高くあげて〜でかく背中をの
ばすじゃん、はい、1、2、3〜ちゃんとしろし、手足をうーんとやっこく〜こぴっとか
かともあげるんだよ〜7、8、いいじゃん」というもの。ご当地ラジオ体操の後発な
がら、沖縄弁と違って意味が分かりやすく、面白いとヒットしているとか。
  また、NHKは「英語版 ラジオ体操第1、第2、みんなの体操」CDを公式に製
作し発売している。近年、日本企業が世界中に進出し、日本のラジオ体操が現
地従業員との融和に役立つと、需要が増えているという。

  「ねぇねえ、久井理事、若い時に大阪に住んでたんでしょ?」
  ラジオ体操の帰りがけに小宮理事が話しかける。
  「そうだよ」  久井理事は何が始まるのか、きょとんとしている。
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  「大阪弁でラジオ体操をする時は『ほなぼちぼちやりっまっか〜』と始まるの?」
  小宮理事の思いがけないふりに久井理事は驚くが、
  「知らんわ〜そんなの〜」 と言いながら、おかしくて顔が笑っている。

  「北海道弁のラジオ体操を聞いたことあります?」
  小宮理事は今度は早川に話題を向ける。
  「聴いた事はないからまだないんでない?」  早川が答える。
  「北海道弁だったらどう言うのかな?」

  小宮理事がからかうように早川の顔を見る。
  そう言われて早川は真面目に考えてみるが、即座には出てこない。
  「うーむ」
  早川が考え込む。3人はいつしか公園のグランド脇の芝生に座り込む。
 「今日も天気はいいあんばいだっしょ!」
  苦し紛れの早川が引き伸ばしにかかる。
  「いいねぇ、その調子、第一声はそれだな」
  久井理事が調子に乗せる。久井理事の言葉に早川は、
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 「そうだなぁ、次は『さあ、みんな、おだって(調子に乗って)いこう!みんな、けっ
ぱけれ(頑張れ)よ〜』じゃ、どう?」
  「いいぞ、いいぞ、続いて続いて」
  2人は酒も飲んでないのに調子が良い。早川はしばらく考えてから、
  「ごんぼ掘らず(だだをこねず)に、しっかりやれよ〜そこの怠け者、なまら(とて
も)きもやける(腹立たしい)なぁ〜」  と、搾り出すように言う。
  「お次の番だよ、お次の番だよ」

  小宮理事と久井理事の2人は手拍子を打って早川をけしかける。
  「これ以上は無理、無理・・・北海道弁ラジオ体操はゆるくない(簡単ではない)
よ」早川があごを出す。
  「わはは、わはは」 2人が手を叩く。
  3人がひとしきり笑った後、いちばん年長の久井理事が、
  「北海道にはニシン漁もあったし、農地開拓もあり、先祖が全国各地から来てい
るから、北海道民といえども北海道弁が共通とは言えないかも知れないね。ここの
3人だってご先祖の出身地はみんな違うはずだよ・・・」とやおら話し出す。
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  「そうですね」
  早川がうなづいて北海道弁ラジオ体操の話は終わった。

  公園からは帰る方向が違う2人と別れて、早川は自宅へと向かう。南公園の
左出口を出てすぐの長谷川さんの庭に奥さんがいた。年の頃なら70歳半ばか、
いつも通るたびに庭で花の手入れをしている。
 「お早うございます、今年もきれいな花を咲かせてますね」
  早川が声をかける。
  「ありがとうございます、ところであなたは町内会の方?」
  「そうですが・・・何か?」
  早川は不思議に思いながら奥さんの顔を見る。
  「実はね、夏休みに入ると、いつもの事で子供達の花火が夜うるさくてね、眠られ
ないんです。町内会で何とかならないかしら」  と奥さんは訴えるように話す。
  「公園の入り口には、花火や犬の放し飼いや自転車の乗り入れを禁止する立て
札がありますが・・・」
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第2話 ラジオ体操  その5 ★★★★★






















           

         


























































































































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