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喜劇「猫じゃら行進曲」



小説「眠れない猫」

ベトナム四十八景

デジカメ あしたのジョー
 「おや珍しい、キャンドルナイト以来ですね、木枯社長?」
  金森支配人が声をかける。
 「顔を出して当たり前だ、俺は卑しくも猫じゃら工房の社長だからな」
  木枯社長はそう言いながら猫じゃら工房へ階段を上る。なぜかしら金森支配人が
その後に続く。
 「神田、真面目にやっているか?あい変らず、2階はクソ暑いな、仏壇屋の居候だ
から文句言えないか?」
  そういう木枯社長の言葉に神田は、
 「そうですね、われわれは居候の身ですから」
  と面白くも何ともないと言わんばかりに鸚鵡返しに返事する。
 「ところで何か変わった事はないか?」
 「何も・・・・・・」神田がそう言いかけたところで、

 「ありますよ」と金森支配人がその後を続ける。
 「何?どうした、番頭?」

 「実は最近下の仏壇屋 蓮華堂に変な電話がかかってくるんですよ」
 「変な電話?」
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 「木枯社長の年齢と雇用主の名前を聞いてくるんです」
 「俺は73歳だ、間違いない。しかし、年金生活者に雇用主の名前を聞いてどうす
るんだ?」
  木枯社長が大きな目をぎょろりと剥く。
 「私に怒ってどうするんですか?電話の相手がそう言ってるんです」
 「それで相手の名前は?」
 「いくら聞いても知り合いの者としか言わないんです」

 「それで相手は男か女か?」
 「最初は女性でした」
 「女性?・・・・・・待てよ、最近付き合い始めたあの娘、いや昔の娘かな?」
  木枯社長は彼女の顔を思い出したのかにんまり笑う。
 「次に来たのは男性でした」
 「男?俺は男には興味がないぞ」
  と木枯社長はとぼけた顔をする。
 「木枯社長だけではないんです、神田さんについても、まり子さんについても同じ事
を聞いてくるんです」
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  金森支配人が続ける。
 「何?神田やまり子についても?」
  木枯社長がまたまた驚く。
 「金森さん、俺とまり子さんにもそんな電話が来ているのかい?」
  神田はそれまで木枯社長の事と聞き流していたが、自分の名前が出た以上他人
事ではなくなった。
 「そうですよ、名を名乗れと言うと答えない。電話を切ると今度は別
な奴から来るん
です。うちも客商売ですから電話に出ないわけにもいかなくて・・・・・・」
  金森支配人は困った顔をする。
 「相手の電話番号は?」
  神田が訊ねる。
 「携帯で、毎回電話番号が違うんです」
 「それじゃあ、まるで犯罪集団だな?それに何で他人の事を仏壇屋 蓮華堂に聞い
てくるんだ?」
  木枯社長がげじげじ眉毛を吊り上げる。
 「最近、わが家にもそんな内容の電話が来ているそうです。カミさんは2度と取り上
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げないようですが・・・・・・それより私は最近誰かにつけられているような気がしてな
らないんです」
  神田がため息をもらす。
 「何、お前もか?俺もそうさ」
  木枯が驚く。
 「2人とも裏でこっそり悪い事でもしているんでないの?」
  2人の会話を聞いて金森支配人が冷やかす。
 「何を言うんだ、お前なんか出ていけ!」
  木枯がレッドカードを出して金森支配人に退場を命ずる。
 「まいった、まいった。せっかく教えてあげたのに・・・・・逆恨みだ」
  金森支配人はそう言いながら帰って行く。
 「これはいったいどう言う事だ」「どう言う事なんだ」
  2人は同時に同じ言葉を発する。2人ともいろいろ考えて見たが思い当たる節
はなかった。部屋の中は生暖かい重い空気が漂い、沈黙が支配していた。
  

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第13話 姥(うば)捨て山  その6 ★★★★★★






















           

         

































































































































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