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ベトナム四十八景

デジカメ あしたのジョー
以上は23日と整理券を配る。出場が明日以降になっても子供達は帰らず、アニメ
学院の前でたむろしている。
  いつの間にか新聞社やテレビ局が来ていた。予選2日目と予選3日目そして決勝
大会の最終日まで猫じゃら小路6丁目は人でいっぱいだった。

 「神田さん、ゲーム大会ご苦労様でした。久し振りに猫じゃら小路が賑わいました
ね。ところで木枯社長は?」
  ポケモンゲームチャンピオン大会を終えた9月25日の午後3時頃、立川理事長が
猫じゃら工房の木枯社長を訪ねてくる。
 「今日は火曜日ですから来ていません」
  連日の疲れでまだぼーっとしている神田が答える。
 「そうですか、それじゃあ、電話して見ますか」
  そう言いながら自分の机に座り木枯社長の自宅に電話をかける。
 「奥さん、立川です、ご無沙汰しています。ところで旦那さんはいますか?・・・・・・あ
あ、そうでした、今日は中央囲碁クラブでしたね。そちらにかけます」
  立川理事長は市内電話案内で中央囲碁クラブの電話番号を聞き出す。そして、木
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枯社長を呼び出してもらい、おもむろに話し出す。

 「木枯君、早速ですが、実は先ほどさっぽろ市教育委員会から猫じゃら小路商店
街振興組合の私のところに電話がありましてね、『ポケモンゲーム大会の責任者は
教育推進課に出頭して欲しい』と言うんです。それで私は主催者は猫じゃら工房と
言ったんですが、相手は人の言う事を聞かないのですよ。木枯社長が教育推進課
に行って話を聞いてくれませんか?よろしくお願いします」
  立川理事長は受話器を耳から放している。電話の向こうの木枯社長が興奮して
大声を出しているようだ。
 「君の言い分を私に言われても・・・・・・それは教育推進課に言ってください。君は
今教育委員会の近くにいるんですから、行ってください、ひとつ頼みます、電話をい
ただいた私の立場もありますんで・・・・・・」
  立川理事長が汗を拭き拭き受話器を下ろす。
 「理事長、何かあったんですか?」
  神田が訊ねる。
 「あれだけマスコミが取り上げたから、父兄の誰かが市の教育委員会に文句を言っ
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たのでしょう、『教育上よろしくない』とか何とか・・・・・・」
 「それで責任者は出頭しなさいってかい?とんでもない話ですよ」
 「役所も責任者を呼びつけて注意をした、そういう事実を残したいのでしょう。昔から
泣く子と地頭には勝てないものです・・・・・・それにしても今度のイベントは大成功でし
た。年末年始の現金つかみ取り並みの盛況でした。理事長としてもお礼を言います。
またマスコミの話題となるイベントを何か考えてください、頼みます」
  と言って立川理事長は帰っていった。

  午後4時、木枯社長が北2西2のさっぽろ市教育委員会の教育推進課の前に立つ。
 「責任者は誰だ?誰だ、俺を呼びつけたのは?」
  木枯社長の大声にカウンター前の女子事務員がびっくりして腰を上げる。見ると、
ちょび髭を生やした爺さんが紺の着物を着て、右手に扇子を握っている。この見慣れ
ぬいでたちに彼女はふたたび驚く。
 「どちら様ですか?」
 「猫じゃら工房の木枯だ、責任者を出せ」
 「猫じゃら工房の木枯?ゲーム大会を主催した?」
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  左手奥に座っている50代の男が立ち上がる。.
 「そうだ、電話をよこしたろう、用件は何だ」
 「私、山田が電話しました、どうぞこちらへ」
  男は自分の席の隣に折りたたみ椅子を用意する。顔を見るといかにも公務員と言
う感じで高圧的で頭が高い。
 「どうぞおかけください」
  そう言って名刺を出す。さっぽろ市教育委員会教育推進課班長山田公僕とある。
 「実はですね、昨日のポケモンゲーム大会に市民から苦情が来ましてね、子供の
教育上好ましくない、と・・・・・・」
 「ゲームなんてどこの子もやってんだろう、いっしょに集まってやってどこが悪い?」
 「それがですね、親に黙って出かけたとか・・・・・・」
 「それはそこの家のしつけがなっていないからだろう?」
 「そうなんですが、そういう電話をいただいた以上、私共も何も手を打たないわけに
は行かないものですから」
 「それでどうしろってんだ」
 「出来れば、今後二度と実施しないと一筆書いてもらえば・・・・・」
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第6話 適わぬ恋  その2 ★★






















           

         




































































































































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