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デジカメ千夜一夜

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おじさんの料理日記

喜劇「猫じゃら行進曲」



小説「眠れない猫」

ベトナム四十八景

デジカメ あしたのジョー
進行し、終了した。猫じゃら小路は久し振りに賑わい、小路はゴミ一つなくぴかぴかに
なった。神田の携帯電話が時折鳴る。新聞社からで、夕刊に間に合わせるための追
加取材であった。

  猫じゃら小路新鮮隊によるゴミ拾いが一段落した午後1時過ぎ、臨時のスタッフ一
同は仏壇屋 蓮華堂の2階、猫じゃら工房に集まっていた。立川理事長もいつのまに
か来ている。会議用テーブルには金森支配人が仏壇屋 蓮華堂から持ち込んだ客用
の冷たい飲み物が並んでいる。
 「皆さん、ありがとう。大成功です、良くやってくれました」
  立川理事長が全員に頭を下げる。
 「ほんと、みんなのお陰で猫じゃら工房も助かったよ」木枯社長が続ける。
 「ゴミは猫じゃら小路商店街のゴミ集荷場へ運んだが、思ったほどなかったね」
  ジャガービヤホールの佐々木支配人が汗をぬぐう。
 「それぞれの店が面子にかけてきれいにしたんじゃないの?」
  黒川事務局長が皮肉を言う。
 「後半に歩いた人達は『ゴミがなかったけれど、隊員になれますか?』ってベソをかい
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ていたよ」
  メンズ・ジーンズの高橋社長が笑う。
 「ゴミの多寡はどうでも良いのさ、あのシャツを着て1丁目から7丁目まで歩いてくれ
た事に意味があるのさ」
  初めてのイベントをやり終えた神田は喜びをかくせない。
 「楼蘭高校のバレー部の後輩も来てくれたんですよ」と半井嬢が言う。
 「それは気がつかなかった、ご協力ありがとう」と神田が礼を言う。
  そんな話をしている時、ドタドタと階段を上ってくる足音がした。
 「お疲れさん、差し入れです」
  早めに引き上げたと思われたちょん月食堂の佐藤若社長が白髪の老人を連れて
やってきた。それぞれ両手に岡持ちをぶら下げている。
 「なに、なに?これは焼きそばか?」
  食べ物の匂いに敏感な半井嬢が瞳を輝かせ腰を上げる。
 「鼻の良い人、当り」
  坊主頭に豆絞りの手拭いを巻いた佐藤若社長が威勢良く答える。佐藤若社長が
岡持ちの蓋を開けて長テーブルに並べだす。金森支配人と春北商会鰍フOL高木
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まり子おばさんも手伝い始める。
 「12個もあるわ」
  痩せの大食い半井嬢は頭の中でここにいる人数を数えている。
 「半井さん、これで足りなきゃ、ちょん月食堂へおいで」
 「そりゃ人より少しは食べるけど・・・・・・私はそんな大食いではありませんよ」
  このやりとりを聞いて一堂笑い転げる。
  みんなが焼きそばをぱくついている姿を見ながら佐藤若社長が話し出す。
 「だけど、今日は我々も久し振りに燃えたねぇ、神田さん、TVゲーム大会は何時や
るのさ?俺も出たいんだけど・・・・・・」
 「主催者お断りじゃないの?」 メンズ・ジーンズの高橋社長が話を混ぜっ返す。
 「そんなら、焼きそば返せ」 と佐藤若社長が反撃する。
 「分った、分った」 高橋社長が焼きそばの皿を持ちながら逃げ回る。
  ひとしきり騒ぎが収まった頃、
 「さあ、今日の夕刊とTVのニュースが楽しみだなあ、各社がどこまで取り上げてく
れるか?」と神田が話すと、木枯社長が立ち上がる。
 「そうだ、用事を思い出した。皆さん、私はこれで・・・・・・まりちゃんも帰ろう」
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  と木枯社長が高木まり子を連れて帰って行く。
 「何だ、またデートか?」神田が呟く。
 「さあて、焼きそばもご馳走になったし、我々もお店に戻るか」
  サッポロジャガービヤホールの佐々木支配人が腰を上げる。

  その日の午後5時、自宅に帰った木枯社長はちょび髭にビールの泡をつけながら
TVのローカルニュースを見ていた。
 「おい、俺のインタビューが一つも映らないぞ、映るのは参加者のインタビューばか
りだ」
 木枯は大きな目をむいて、台所の神さんに声をかける。
 「だからあんた言ったでしょう?映るかどうか分らないのに親戚中に電話するのは
よしなさいって・・・・・・」
 「五月蝿い、もうTVなんか見てやらんぞ」 
  木枯の気持ちは夜になってもなかなかおさまらなかった。


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第4話 新鮮組 誕生  その6 ★★★★★★






















           

         



































































































































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