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小説「眠れない猫」

ベトナム四十八景

デジカメ あしたのジョー
訪れてみたいと思わせなくっちゃ・・・・・それにあの猫のマークはいけません。幼稚
園の子供向けじゃないのだから、もう少し若者にも受けるマークにしなきゃ」
  神田のボルテージは上がる。
 「わが猫じゃら小路商店街のホームページについては神田さんの言う事にも一理
あると思います。しかし、マークまで変えるとなるとそれは大事(おおごと)ですよ」
  分別のありそうな佐々木理事の発言でふたたび気まずい雰囲気になる。この時で
ある、これまで目をつぶっていた木枯社長ががっと目を開いたのは・・・・・・
 「みんな何か勘違いしてないか?猫じゃら小路商店街振興組合も猫じゃらサービス
もこれから出来る新鮮組もそれぞれ違う組織体だ。猫じゃらサービスも新鮮組もいわ
ば勝手連さ、だから猫じゃら小路商店街振興組合を外側から応援出来るんだよ。イ
コールだったら自分でマスをかいているみたいで、面白くもおかしくもないだろう。そ
んなの大体マスコミが取り上げてくれるか?マークだって違っていて何がおかしい、
当然だよ」
  木枯社長のこの一言でみんな頭を殴られたようだった。
 「猫じゃら小路商店街振興組合が同じ事を企画しても話題にならないから、俺たち
が企画してるんだ。この件に関しては一切我々猫じゃらサービスが仕切る。問い合
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わせについてもわが方が責任を持って応対する、そうだな?神田」
 「そのとおりです。パンフレットやチラシの問合せ先には猫じゃらサービスの電話し
か載せませんし、猫じゃら小路商店街振興組合へは照会しないよう但し書きを付け
加えます。ただ実施する場所が猫じゃら小路ですから、猫じゃら小路商店街振興組
合のご理解もご協力をいただかないと・・・・・・」
  神田がみんなの顔を見回す。
 「いいね、みなさん、そう言う事です。わが猫じゃら小路商店街振興組合の発展の
ためにもこの企画にみなさんのご理解とご協力をお願いいたします」
  立川理事長が組合の関係者に駄目押しをする。さらに、
 「神田さん、いただいた資料とは中身が変わっていますから、今お話の内容で整
理し直して改めて当組合への協力依頼文をください、木枯社長、良いですね」と続
ける。
 「こっちの方が協力依頼文を欲しいくらいさ、これは冗談だがね」
  収まるところに収まり、木枯社長はご機嫌麗しい。
 「黒川事務局長、その依頼文をもらったらLANで各組合員へ流せますね?」
 「はい、ただちにやります」
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 「それじゃあ、本日はこれまで、ご苦労さんでした」 
  立川理事長が会議を締めくくる。
 (2人の爺さん、だてに年は取っていないな)
  神田はそう思った。

  金森支配人が蓮華堂不動産に残ったので、その帰り道は木枯社長と神田の2人
連れとなる。木枯社長が歩きながらぽつんと呟く。
 「お前の頭も停止したかと思ったら、まだ成長しているんだな」
 「さっきの新鮮組に変わった話ですか、組合の関係者が集まると言うんで急遽思い
ついた事です。社長こそ機転の一言でみんなが収まりました。助かりましたよ」
 「機転ではない、れっきとした理屈だ」
 「分りました。脳の成長ついでにもう一つ、社名を『猫じゃらサービス』から『猫じゃら
工房』に変えませんか?」
 「何でだ?」
 「猫じゃらサービスと言うと、何か猫じゃら小路商店街振興組合の下請けみたいで
寂しいと思いません?」
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 「実際のところ、立川がスポンサーだからその通りだろう」
 「そうですが・・・・・・将来はサービスだけでなく、自立したクリエイティブな仕事もした
いですよ。幅広い仕事をするためにも、猫じゃらサービスが認知される前に名前を変
えておいた方が良いと思います」
 「そうするか、早いうちに立川に言って置かねば・・・・・・」
 「お願いします。どうして立川理事長は木枯社長の言う事をいつも聞いてくれるんで
すか?ぽん友だってのに言葉遣いだっておかしいですよ、先輩は立川理事長に乱暴
だし、逆に立川社長は先輩に丁寧だ、何でですか?」
 「それはいろいろあってさ」
 「いろいろって?」
 「いずれ分るよ、ははは」 と取り合わない。
 (この2人の関係はどうなっているんだ?)
  神田は想像してみるが答えが見つからないまま帰って来た。夕暮れ時に差し掛かっ
た猫じゃら小路は先ほど出かけた時よりは人通りが増えてきていた。アーケードの照
明が心なしか明るく見えていた。

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第4話 新鮮組 誕生  その3 ★★★





















           

         





































































































































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