清掃デー、任天堂やソニーのゲームのチャンピオン大会、仮装大会などの各種イベン
トに参加してももらおうと考えています。これらのイベントについてはおいおい猫じゃら
小路商店街振興組合の皆さんと協議させていただきますが、とりあえず第一歩として
来月の８月１１日、土曜日に『猫じゃら小路、新鮮組、隊員募集』をさせていただきた
い・・・・・・仕事は一切合財猫じゃらサービスが行います。今日はこの事を皆さんにご
理解いただきたいと思います、以上です」
そう言って神田は座った。この思いがけない耳慣れない提案に一同は唖然として
声も出ない。しばらく沈黙が会場を支配した。
「質問」
沈黙を破って坊主頭の「ちょん月食堂」の若旦那佐藤理事が手を上げる。
「新鮮組なら隊員でなく組員募集でないですか？」
この発言にみんなの緊張が和らぐ。
「組員ならやーさんみたいで、集まらないでしょう」
神田が笑いながら答える。
「具体的にどうするんですか？」
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「実施日の５日前、８月６日の月曜日、『猫じゃら小路 新鮮組 隊員募集の趣意書』
をマスコミに投げ込みます。当日８月１１日午前１０時に猫じゃら小路１丁目の仏壇屋
蓮華堂前に集合してもらいます。そこで氏名・年齢・住所・電話番号を記入してもらい、
Tシャツとゴミ袋と軍手を配布します。７丁目まで行ってゴミを拾って帰ってきたら合格
で、腕に登録のスタンプを押して終了します」
「これは話題になるかも・・・・・・」
サッポロジャガービヤホールの支配人、佐々木理事が思わず呟く。
「隊員証は発行しないの？テレビ番組の『探偵ナイトスクープ』みたいに・・・・・・」
佐藤理事は興味を示す。
「正直言ってそこまで頭が回っていなかった。お金もかかる事だし・・・・・・」
神田が言う。
「ところで、Tシャツの手当てはついたの？」
商売がら、「メンズ・ジーンズ」の高橋理事が問いただす。
「まだです。一円でも安く買いたいものだから・・・・・・」
正直なところ、神田はどこかのバッタ屋から売れ残りのTシャツを二束三文で仕入
れようと思っていた。
「何着必要なのかわからないが、俺の店にはいくらでもあるよ」
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高橋理事が自分の店「メンズ・ジーンズ」の商品を勧める。
「この商店街にはTシャツを扱っている店がたくさんあるぞ」
佐藤理事がにやりと高橋理事の顔を見る。
「いっその事、みんなで入札に応じたら？」
日頃、公正と平等をモットーにしている黒川事務局長が口を切る。
「そんなけちな事言わずに、各店には去年の売れ残りがたくさんあるはずだから、
いっその事猫じゃらサービスに寄付したらどうですか？そうしてもらえれば私としても
助かるのですが」
これまでの成り行きをじっと見ていた立川理事長がそう言ってみんなの顔を見回
す。高橋理事は(薮蛇だった)と臍をかむ。
「事務局としてはそう言う事で関係するお店に要請文を出したいと思います」
黒川事務局長がみんなに提案する。続けて、
「私からも質問します」と話し出す。
「問題はこの猫マークです。このプリントにある猫のマークはなかなか素晴らしいの
ですが、当組合にはすでにお馴染みのマークがあります。これをどうするか？当組合と
しては現在使用しているマークを使って欲しいのですが・・・・・・」
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「これはあくまでも猫じゃら小路新鮮組のマークだから」
と神田はあくまでも使い分けを主張する。
「どうでしょうか？一般の方は猫じゃら小路商店街振興組合の新しいマークだと思い
ますよ」と黒川事務局長はなおも食い下がる。
「今の幼稚園の掲示板みたいなマークが受けていると思いますか？」
神田が反撃する。そしてさらに追い討ちをかける。
「話は脇道にそれますが、猫じゃら小路商店街のホームページを見ている人がいる
と思いますか？一般の人の話題にもなっていない。今のホームページは誰に見ても
らいたいのか分りません。役所の広報みたいだ、躍動感がなくてぜんぜん面白くない」
「そうですか？立ち上げには私も一役買ってはいましたが」
黒川事務局長は痛いところをつかれて困った顔をする。
「猫じゃら小路商店街の必要最低限の事項は盛られて入るが、そこに働く人間の顔
が見えない、個々の商店の詳しい地図もないし、紹介もない」
「メンバーも何割かはしょっちゅう変わりますし、個々の商店で単独のホームページ
を開いている店もありますし・・・・・・あの程度で十分かなと」 黒川が言い訳する。
「ホームページは猫じゃら小路商店街の顔だから、明るく楽しくなくっちゃ、見た人が
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