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デジカメ千夜一夜

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喜劇「猫じゃら行進曲」



小説「眠れない猫」

ベトナム四十八景

デジカメ あしたのジョー
 

  猫じゃらサービスの事務所では重苦しい空気が支配していた。その時木枯社長
が沈黙を破る。
 「金森支配人、立川に『今から行く』と連絡してくれ」
 「今すぐですか?」 金森支配人が眉を曇らせる。
 「今すぐだ、『会議や来客があったら中断せ』と・・・・・・」
  木枯社長は金森支配人を自分の部下のように命令する。
 「ただ今、下へ行って連絡を取ります」
  金森支配人は2人に聞かれないよう階下の仏壇屋 蓮華堂に戻って行く。
 「電話ならここでかければよいのに・・・・・・」 木枯社長は金森支配人の立場を分って
いない。 しばらしくて金森支配人が上がって来た。
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 「立川社長がお待ちしているそうです」
 「そうか、それでなくっちゃ」
  木枯社長は自分の意向が通じてご機嫌である。
 「金森支配人、お前も同行せい」
 「私はちょっと用事が・・・・・・」
 「どっちが大事だと思ってるんだ、行くぞ」
 「はいはい、同行します」
  金森支配人は観念した。

 「立川、忙しいのに時間を割いてもらって悪いな、こっちも重大事だ。何しろ猫じゃら
サービスの初仕事だからな、猫じゃら小路のゴミ掃除の事だ」
 3丁目の蓮華堂不動産の社長室に入るなり、木枯社長がこう切り出す。ちょび髭を
生やした和服姿の木枯社長の出現で「すわ何事か?」と社内がざわめく。
 「木枯社長、金森支配人から聞きました、ちょうど良いところです。今、猫じゃら小路
商店街振興組合の理事数名と黒川事務局長が来ています。せっかくの機会ですから
彼らにもいっしょに聞かせてやってください」
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  立川理事長は3人を会議室へ誘導する。
 (なにっ、立川理事長だけでないのか?)
  神田には計算外の出来事で一瞬ひるむが、神田は何食わぬ顔をして、
 「金森支配人、人数分コピーしてください」と原稿を渡す。
  木枯社長と神田がひな壇に座ると、立川理事長が2人の紹介をする。
 「皆さんはすでに知っていると思いますが、こちらが猫じゃらサービスの木枯社長と
神田さん、このお2人には私のブレーンとしてこの猫じゃら小路商店街が発展するよ
ういろいろと相談に乗っていただいています」
  そう話した後で立川理事長は今度は2人に前に座っている猫じゃら小路商店街振
興組合の高橋理事、佐藤理事、佐々木理事と黒川事務局長を紹介する。
 「突然ですが、今日はお2人から当猫じゃら小路商店街振興組合にある提案があり
ますので皆さんにもお聞きいただきたい。そして皆さんの忌憚のないご意見を伺いた
いと思います、よろしくお願いします」
  そう言って立川理事長は2人の方を見る。
 「神田、説明しろ」
  木枯社長が神田のわき腹を突く。
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 「神田です。猫じゃら小路が今以上に賑わうために何をすべきか、問題がたくさんあ
り、整理しているところですが、それまで時間もかかります。それで今出来る事はない
かと考えたのが今からお話しする事です・・・・・・」
  ここまで話したところで、金森支配人によってコピーが全員に配られる。トムとジェ
リーに似た元気なマークにみんなの視線が集まる。
 「私どもがまず最初にやろうとしてする事は猫じゃら小路愛好会を作ろうと言う事で
す。お断りしておきますが、今話している事はお配りの資料と若干違っています。資料
では『猫じゃら小路きれいにし隊に参加しませんか?』と歌っていますが、これを変更
して『猫じゃら小路、新鮮組、隊員募集』にしようと思います」
 「何っ、新撰組?」
  木枯社長が目をむく。打ち合わせと違う内容に金森支配人も怪訝な顔をする。
 「いいから黙って聞いてなさい」
 神田は木枯社長に小声で言い聞かせる。前の組合の関係者がにやにやして2人
のやりとりを見ている。
 「新鮮組の新鮮はフレッシュの新鮮です。要するに猫じゃら小路をリフレッシュしたい
という私設応援団を作りたいのです。これを公募し、会員登録をする。そして、例えば
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第4話 新鮮組 誕生  その1 ★





















           

         

























































































































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