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小説「眠れない猫」

ベトナム四十八景

デジカメ あしたのジョー
 「商店街としてはきちんとやっていただきたいと思います」
 
  ここで少し間を置いて神田が再び話を続ける。
 「ゴミの清掃については今一つアイデアがあります。猫じゃら小路のゴミの清掃を何
とかボランティアで出来ないか考えています。商店街のゴミの清掃にもう一つボラン
ティアのゴミの清掃をプラスするのです。もちろんマスコミの話題になるように・・・・・・」
 「ボランティアか?面白いな」
 木枯社長が口を挿む。
 「ボランティアでゴミの清掃ををやってくれる方がいるでしょうか?」
  立川社長が疑問に感ずる。
 「暇で目立ちたいジジババはいると思います。北京では退職したジジババが派手な
ジャンバーを着て朝早く街を掃除していますよ。まったくの勤労奉仕です。マスコミの
話題になれば学生も参加して来ると思いますよ、何をして良いのか分らない学生が
いっぱいいるんだから」
 「そうですか」
  立川社長はまだすんなりと落ちない。
057

 「とりあえず、今年の夏休みから実行したいと思いますが、問題が幾つかあります」
 「問題と言うと?」
  立川社長が神田にたずねる。
 「これから思いついた事を1つずつ実行していこうと思いますが、1つは実行前に立
川理事長の方から猫じゃら小路商店街振興組合のメンバーに了解を取っていただき
たい。また、なるべくお金をかけないようにやりますが、最低限かかる費用は実費を
ご負担願いたい。例えば、清掃隊に着せるTシャツ代金、清掃道具代金などです」
 「立川、猫じゃら小路商店街振興組合に予備費はないのか?」
  木枯社長が聞く。
 「ある事はあります。大きなお金は理事会にかけなければなりません・・・・・・」
  立川社長は神田の顔を見る。
 「当面はそれほどかからないと思いますので、私が立て替えておきます。もちろん事
前に立川社長にお話しして、同意を得られればの話ですが・・・・・」
 「もし私が不在の時には仏壇屋 蓮華堂の金森支配人に話しておいてください、仕
事が終れば彼が一日の出来事を私に報告する事になっていますから」
 「ありがとうございます、あともう1つ」
058

 「何ですか」
 「清掃隊のTシャツに使う猫のマークですが、現在猫じゃら小路商店街振興組合が
ホームページなどで使っている猫のマークと違ってもいいですか?」
 「と言いますと」
 「はっきり言ってあのマークは幼児向けで、若い方に受けません。若者に受けるた
めにはトムとジェリーの猫みたいに、もっとキュートでカッコよくなくちゃと思います。そ
れにあのホームページでは誰も見てくれませんよ、官庁のホームページと同じで、楽
しくもおかしくもない」
 「そうですか?」
  立川社長は長年親しんできたマークとホームページだけに神田の言う事に合点が
いかない。
 「公式マークを変えるとなると皆さんの同意が必要でしょうから、清掃隊だけのマー
クと言う事で皆さんのご了解が欲しいのです」
 「むーん」
  いきなり猫じゃら小路商店街振興組合の根幹に触れるテーマを突きつけられ、組
合の理事長である立川社長ははたと考え込む。
059

 「立川、あまり、深く考えるなよ。この猫じゃら小路商店街を何とかしたいんだろう?
いっぺんに変えるとなるとみんなの抵抗に合うから、少しずつ変えていくのさ、旧習に
囚われずにな」
  木枯社長は神田に援軍を送る。
 「そうですね」
  立川社長はそう言いながらも、(神田君も木枯に劣らず過激だ)と思わざるを得な
かった。
 「とにかく何でも事前に相談してくださいね」
  立川理事長は勝手に動き出しそうな2人に釘を刺す。
 「ありがとうございました。よろしくお願いします」
  神田が立川社長にお礼を言う。
 「まだデザートが出てないぞ」
  木枯社長はボーイの動きを見ている。
 「そうですね、ゆっくりいただきましょう」
  立川社長はおうように答えながらも、喉に骨が刺さった心境である。
  間もなくケーキとコーヒーが出てきた。
060
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第3話 プロジェクトS  その3 ★★★






















           

         





































































































































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