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寄与する事としている。
 「ねこふんじゃった資料室」と「猫踏んじゃった(ウィキペディア)」によると、この
曲はピアノ独奏を基本として世界中で親しまれているが、発祥国と作曲家につ
いては諸説があり、不明である。
  曲名にネコが含まれているのは、日本の他、子猫之舞(台湾)、猫の踊り(韓
国)、黒猫のダンス(ルーマニア)、猫のポルカ(フィンランド)などがある。
  このほか、犬のワルツ(ロシア)、蚤のワルツ(ドイツ、ベルギー)、アヒルの子
たち(キューバ)、ロバのマーチ(ハンガリー)、お嬢さん(メキシコ)、豚のワルツ
(スウェーデン)など、他の動物の名前のついた曲がある。いずれも曲の独特な
リズムより連想してつけられたもののようである。
  この曲は世界中で28ヶ国もの国で愛されているが、日本にはどのような経過
や経路で伝わったのかは分かっていない。

  さて、東町町内会の3月の理事会の日がやって来た。今日は三役候補者の決
戦投票の日である。みんな理事会より最後の役員選考に興味津々で、本来の議
案についてはいつものような質問や疑義が出てこない。
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 「それでは役員選考に入ります」
  坂本総務部長からマイクを受け取った館山選考委員長は声高らかに宣言す
る。
 「先月の理事会で行われた三役候補者の選出の投票結果はみなさんのお手元
に配った資料の通りです。この資料の網掛けした欄より上の方に書いてある方々
が本日の本選挙の対象者です。会長候補者から順次行います」
  館山選考委員長の説明で早川がリストを見ると、会長候補には9名の名前が
挙がっており、上位2名は大林氏と宮城氏で、前回の得票が20票と12票となっ
ている。
  ふと網掛け以下の最下行を見ると早川四郎1票とある。
 (冷やかしだなぁ、誰が入れたんだ?・・・・・・まてよ、これは現在の執行部に対
する批判票と思えばよいか)  早川は苦笑いをする。
 「それじゃあ、投票用紙を配りますから、会長候補者の大林氏と宮城氏のどちら
かを選んで投票してください」
  館山選考委員長の発言で選考委員が投票用紙を配り始める。理事達はすで
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に意中の人を決めていると見え、書いた順番に演壇の投票箱に向かう。
 「全員投票しましたね?・・・・・・開票します」
  館山氏が理事達の顔を見回す。
  選考委員は確認係が一票ずつ間違いがないかどうか確認し、読み上げ係が読
み上げる。記入係りはそれを黒板に正の字で書いてゆく。票の動きに会場が騒が
しくなってくる。
 「ご覧の通り、大林氏20票、宮城氏28票で宮城氏が会長に決まりました」
  会場に大きなどよめきが走る。前回の候補者選びで宮城氏のほぼ2倍の支持
を得ていた大林氏はまさかの結果に苦い顔をし、会長に選ばれると思っていなか
った宮城氏が眼を丸くしている。
 「大林氏は昼寝の子猫を踏んじゃったんだ」  早川は思わず独り言を言う。
 「子猫を踏んだ?」
  隣の席の高木分会長が早川の顔を見る。
 「高木さん、『猫踏んじゃった、猫踏んじゃった、そら昼寝の子猫・・・・・・』って歌を
知っているでしょう?」
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 「そりゃ、少しは知ってるよ?」
  高木分会長は早川が何を言わんとしているのか分からない。
 「黙っていれば何も問題が起きないのに、昼寝をしているおとなしい子猫を踏ん
づけちゃったって、大騒ぎになったって話さ・・・・・・」
  早川が解説する。
 「さっぱり分からんね」
 「何でもやり過ぎは良くないって事さ・・・・・・」
  早川はこの逆転現象は前回の改選で大林氏があれこれ画策した反動だと考え
ていた。
 (宮城副会長はリーダーシップにはやや欠けるが、やり過ぎの大林会長よりまだ
ましだ、という事か?)
  早川は理事達の冷静な判断を評価していた。
  余談になるが、長期政権だった佐竹会長が辞任してから実に6期12年目にし
て地主の会長が復活した事になる。

 「それでは引き続き副会長の選出に入ります」
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第12話 晴れのち曇り  その2 ★★






















           

         

































































































































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