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募る、2)ブロックごとに三役候補を推薦する、3)理事会で三役候補を推薦する、
4)これらの方式を組み合わせる、となっています」
  そう言って坂本総務部長が会場を見回す。
 「町内会員から選べないのですか?」
  質問の一番手、黒田分会長が発言する。
 「そういう案もありましたが、3,781会員の中からどう選ぶか、現実的ではない
ので省略しました。現在の理事の中から選ぶのが妥当だと考えます」と坂本総務
部長が答える。
 「分かりました」  黒田分会長はすんなりと引き下がる。
  今度は中田分会長が質問する。
 「2)のブロック毎に三役候補を推薦する、というのはおかしい。三役候補を全部
自分のブロックから推薦したらどうなるのか?われわれはブロックが選んだ委員に
すべてを一任しているんだからその委員に任せたらどうですか?」
 「そうだ」、「そうだ」  会場から賛成の声が多数上がる。
 「そういう事ですので、2)のブロック毎で三役候補を推薦する、という1項は抹消し
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てください」
  次に大沢分会長が手を上げる。
 「3)の理事会で三役候補を推薦する、といいますが、これは無記名投票が良い
と思います。無記名投票は一見無責任に見えるかもしれないが、各理事が自分
の意思を反映できる最良の方法と考えます。逆に記名投票にすると、反対派の相
手に知られたら攻撃の的となり人間関係が壊れます。ですから私は無記名投票に
すべきだと思います。以上です」
  そういって北海のヒグマこと大林会長分会長がどっかと腰を下ろす。
 「賛成でーす」  女性の掛け声とともに拍手が沸き上がる。
  この状況に坂本総務部長も、
 「私はどちらでもいいと思うんですが、そういう事ならそうしましょう」
  と認めざるを得ない。
 (原案なるものがまったく世間の常識とはかけ離れた物だ、ズレている。誰が作っ
た原案なのか?思いつく事を何でもかんでも書くからこうなるんだ。事前にメリット・
デメリットを検討し、ベストかさもなくば最良と思われる方法を理事達に説明すれ
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ば混乱なく終了するはずだが・・・・・・逆に言うとみんなを混乱させて自分達の都
合の良い方法に持っていくのが黒幕の狙いなのか?そのためにわざと選挙管理
規定を定めていないのかもしれない)
  早川は残念ながらそう思うしかなかった。

  後は今後の日程の確認である。
  12月中に役員選考委員は選考委員長を選出する。
  来年2月9日の理事会、選考委員長は選考委員会を開催し、三役候補者を理
                  事全員の無記名投票により選出する。その後、選考
                  委員長は候補者の意思を確認する。
     3月9日の理事会、 選考委員長は選考委員会を実施し、三役候補者の無
                  記名選挙を実施し三役を暫定的に決定する。
     4月の総会、    会長は理事会の承認を得て総会に提案する。総会の
                  承認を得て三役の正式就任となる。
 
  早川が気が付くと、資料「役員選考について(案)」の最後に役員選考委員会の
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ブロック別選出委員と総務部選出委員の名簿があった。
  早川は最初に東Bブロックの選考委員の欄を見る。すると北村研修部長と書い
てある。
  早川の左隣に座っている山田分会長は前回の改選で選考委員をしていたはず
だが、この結果を聞いていたのか聞いていなかったのか、彼はこの議題の最初か
ら最後まで一言もしゃべらない。
 (東Bブロックの誰と誰が話し合って、いつ決めたのか?現執行部の中には北村
女史が選考委員になって苦々しく思っている人もいるはずだ)
  早川はそう思いながら他の選出委員を見る。早川は前回の選考委員の顔ぶれ
は知らないが、最古参の1人はどうみても現執行部寄りの年寄りで、前回から引
き続いての登板のようだ。
  しかし、大半は比較的新しい理事達で、理事会においても発言の回数は少な
いものの、建設的な常識的な意見を述べる人達である。
 (みんな前回の改選のしこりを感じているのか、各ブロックとも良識的な人を選ん
でいる。ここぞと言う時に執行部に正論を持って立ち向かう体育部長の館山選考
委員が選考委員長になれば流れは変わるかもしれない)
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第10話 ズレコローマン  その3 ★★★






















           

         

































































































































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