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み」というテーマであった。要旨は、
 「行政では保健婦さんが介護予防センター東野と東区第2地域包括支援センター
を通じて介護予防事業に取り組んでいる。また、社会福祉協議会の各段階で地域
福祉の市民活動を支援している。これらの行政機関が支援しているので、町内会
関係者・児童民生委員・福祉推進員・住民協力員・近隣ボランティアが連携して見
回り・安否確認をやっていきたい。
  そのための手段として、各町内会では福祉マップを作ったり・見回り箱や呼子笛
や携帯用緊急カードなどの配布をしているが、かんたんな方法として高齢者の緊
急連絡先カード作りをお勧めしたい。これは緊急時の連絡先(かかりつけの病院・
家族・親戚縁者)をカードに書いていただいて高齢者宅の目に付くところにぶら下
げておいてもらうものです。このカード作りを通じて老齢者の見回りをしようとする
物です」  というものである。

  勉強会後の理事会で、滝川福祉部長が各部の報告で、
 「先月と今月の勉強会でお分かりのように高齢者の見回りは今日の社会的状況
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からして大変重要な課題でございます。テレビ・新聞等でご承知のように全国的に
児童民生委員が不足し福祉活動が停滞しています。北海道も札幌市も例外ではあ
りません。そうい状況を踏まえわが町内会としても協力できるものは協力していき
たい。福祉部としてはこの老齢者見回り活動という重要な課題を町内会上げて取
り組んでいきたいと考えておりますので、よろしくお願いします」
  と述べる。
 「質問」  黒田分会長が手を上げる
 「先ほどの勉強会のテキストに『東山町内会18分会の年齢別高齢者数』という
資料がついていますが、各年齢別の合計欄がない。どうなってるの?」
 「失礼しました。少々お待ちください・・・・・・ええと・・・・・・」
  東区社会福祉協議会が作成した資料に目を通していない滝川部長は慌てて隣
の田村副部長に計算するよう目配せする。
  しばらく時間が経ってから、
 「とりあえず、65歳以上の老齢化世帯は2,486で、70歳以上の独居老人世帯
が630です」
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  と答える。
 「これを見ますと、分会ごとにわざわざ分会長の名前が書いてありますが、分会
長が見回り活動をするんですか?たとえ70歳以上の独居老人を対象にしても、多
い分会は56世帯もあるんですよ、年に何回回るのか知らないが、とっても出来や
しませんや・・・・・・」
 「ですから、児童民生員委員といっしょに・・・・・・」
 「いっしょに歩いたって相手は56世帯ですよ」
 「・・・・・・」
  滝川は返答に窮する。
 「質問」
 「中田分会長」
  坂本総務部長が中田を名指しする。
 「マイク、マイク」
  地声も大きいのに中田はマイク係りの丸子さんの姿を探す。丸子さんからマイク
を受け取った中田はおもむろに声を上げる。
 「そもそも、『分会長が見回りをする』って、いつ、どこで、誰が決めたんですか?
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福祉事業は重要だから町内会あげて取り組みましょう、と言いながら事前に何の
相談もない。執行部はこの原案を聞いていたんですか?」
  と執行部の顔を見回す。
 (困った事になった)
  大林会長はそういう顔をして目をぱちくりする。
  玉置副会長は他所を向いている。玉置副会長は現在も福祉部の統括をしてい
るが、先輩の福祉部長に敬意も払わない滝川が原案を相談するわけがない。
  滝川は立ったまま動けない。三役の立場を考えると、人によって相談したとも相
談しないとも答えられないのである。この場を沈黙が支配する。
  このだらしない状況を見るに見かねた北海のヒグマこと大沢分会長がついに立
ち上がる。
 「質問」
  思いがけない展開で困っていた坂本総務部長は喜んで質問を取り上げる。中
田は振り返ってマイクを大沢に渡す。
 「今になって言うのはおかしいかも知れんが、そもそもこの見回り活動はどういう
経過で始まったのか?社会福祉協議会からの要請があったのか?わが町内会の
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第8話 恍惚のブルース  その4 ★★★★






















           

         

































































































































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