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  早川はほうほうの体で誘いをお断りする。
  神社の寄付集めは、本来氏子がやるべき仕事で、町内会にどっぷりおんぶして
いる姿勢に早川は疑問を感じている。さらには現在の執行部の「なあなあのやり
方」に反発していた。

 (他の分会長はどうしたのだろうか?)
  疑問に思っていた早川は、この後、夏祭りの開催中、大沢分会長に訊ねる。
 「大沢さん、東山神社の協力会に入ったの?私は断ったけれども・・・・・・」
  早川は休憩中に隣に腰掛けていた大沢分会長に聞く。
  ヒグマのような巨漢の大沢分会長は赤ら顔をしていて、日ごろ執行部が理屈に
合わない答弁すると猛烈に噛み付く。最古参の釜崎分会長と同様東山町内会の
良識というべき存在であった。
  大沢分会長は4月の総会後の打ち上げの席で、新人の早川の隣にコップを持っ
てやってきた。酒好きはお互いにテレパシーを発信しているのかもしれない。それ
以来何となくうまが合うと早川は一方的に親近感を持っていた。
 「あんなもの俺が入るわけないよ、あれはある人の体の良い後援会みたいなも
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んさ・・・・・・」
  大沢は身体も大きいが声も大きい。早川は思わず周囲を見る。しかし大沢は
「当たり前の事を言って何が悪い」と平然としている。
 (あれも役員改選の時には役に立つって事か?)
 「なるほど・・・・・・これは看板の書き換えですよね?問題の解決には何もなって
いない」
 「そのとおり、何を考えているんだか・・・・・・」
  2人とも苦い顔をして空を見ていた。
  その後、早川は高木分会長にも同じ問いを発する。
 「いやぁ、それは・・・・・・」
  いつもなら明快に答える高木がまことに歯切れが悪い。
 (同じ分会の玉置副会長に折伏されたのか?)
 「死ぬまでやらなきゃなりませんよ」
  と早川が冷やかしても反論しない。高木は1年に1回やるだけと割り切っている
のかもしれなかった。

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  8月末、北村女史と加藤女子が連れ立って、早川の自宅に東山神社の寄付金
集めにやって来た。早川は例年どおり寄付金を渡しながら「ご苦労様です」と2人
を送り出した。
  早川は、この後何となくしっくりしないまま、2階でネットの「共同募金」を見てい
た。 すると、先の厚生省のHP「共同募金」には、「運動期間は厚生大臣の告示に
より、例年10月1日から12月31日までの3ヶ月間とされており、(以下省略)」と
書かれている。
 (東町地区募金協賛委員会では定められた期間を超えて、夏の赤い羽根募金
と秋の共同募金と年に2回も募金をしている。告示違反ではないのか?)という
疑問が沸いて来た。
  また、執筆者が明記されていないと常々指摘されているフリー百科事典「ウィ
キペディア」には三つの問題点が指摘されている。要約すると次のようになる。
 「 一つ目は、共同募金の募金活動や寄付は自発的と言いながら、行政・自治会
          組織によって集められる個別募金が主流で、ボランティアも事実上
          の強制動員になっている場合がある。
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  二つ目は、戸別訪問が困難として自治会費に上乗せするのは違法である。
                                     (2007年8月の判決)
  三つ目は、青森市内の自治会長団体による「寄付金集めは自治会本来の業
         務ではない」とする提言。                 (2009年春)
         自治会では当番による個別募金をやめ、寄付したい人が自治会役
         員のところへ届ける方法や募金袋を回覧する方法を採用するケー
         スも増えている。           

 (東町神社の寄付金集めどころではない、共同募金についても、東町社会福祉
協議会、東町地区募金協賛委員会、東山町内会執行部、分会長はこの事実を
知っているのであろうか?知っていて平然とやっているのだろうか?町内会員は
はたして知っているのだろうか?)  早川は愕然としていた。


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第7話 知ってか知らずか  その6 ★★★★★★






















           

         































































































































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