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 「募金協賛委員って何だ?」
  早川が東山町内会の東4A分会長になって間もない平成21(2009)年5月の
ある日、自宅に一枚のはがきが来た。
  5月29日に平成21年度東町地区募金協賛委員会総会が開催されるので出
席するように、また欠席する場合はあらかじめ連絡をするようにとも書かれていた。
 「俺が募金協賛委員か?誰が決めたんだ?」
  そう早川は思いながらも、新米役員だからと当日しぶしぶ会場のJAさっぽろ東
山支店の2階の会議室へ向かった。
  中に入ると会場には折りたたみ椅子がびっしり並んでおり、すでに東町地区の
町内会関係者が80名ほど集まっている。早川が所属する東山町内会の高木分
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会長、黒田分会長らの顔も見える。
  入り口で受付を済ませると、募金に必要なパンフレット、赤い羽根、領収証、募
金名簿などがどっさり入った大きな封筒が渡される。
  同じ町内会の分会長が座っている隣の椅子に座ると会議が始まった。日赤募
金の使い道、そして今年度の募金活動の心得と実施方法が早口で説明される。
協賛会員は何年もやっている年寄りが多く、何度も聞いているのか説明をほとん
ど聞いていないし、質問もない。みんな会議が早く終われば良いと考えている様
子だった。
 (何?募金の目標額?募金にそんなものがあるのか?)
  早川が資料を見ると、東町地区に属する各町内会の募金目標金額が列記され
ている。早川はただただ驚いていた。
 (それにこれは何だ?)
  渡された大きな封筒の中には、昨年の募金明細が個人ごとにコンピューターで
印字された募金票も入っていて、今年の募金集めで新たに氏名も住所も募金額
も書かなくてもすむようになっていた。
 (募金活動をする人の仕事を楽にしようと考えたのかもしれないが、これはいくら
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なんでもやり過ぎではないのか?それとも個人の募金額を昨年より下げさせない
ための深い魂胆か?)  早川は憤然としていた。
 (赤い羽根って老若男女のボランティアが街頭で通行人に呼びかけたり、戸別
訪問をして募金を勧めてきたのではなかったのか?)  
  早川は赤い羽根募金活動が職域や学校まで及んでいる事は知っていたが、町
内会まで動員して組織的に行っているとはついぞ思っても見なかった。

  厚生省のHP「生活保護と福祉一般:共同募金」によると、
 「赤い羽根をシンボルとする共同募金は、戦後、民間の社会福祉施設などの財
政補填のために行われていた民間の募金活動を制度化したものですが、今日で
は各都道府県に設置された共同募金会が実施主体となって、社会福祉を目的と
する様々な事業活動に広く配分されるようになりました。
  社会福祉法では、共同募金を『都道府県を単位として、毎年1回。厚生労働大
臣が定める期間内に限ってあまねく行う寄付金の募集であって、その区域内にお
ける地域福祉の推進を図るため、その寄付金をその区域内において社会福祉事
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業、更生保護事業その他の社会福祉を目的とする事業を経営するも者(国および
地方公共団体をのぞく)に配分することを目的とするものをいう。』と規定している。

  また、赤い羽根共同募金のHP「赤い羽根について」によると、
 「赤い羽根共同募金は、戦争直後の1947(昭和22)年に戦後復興の一助とし
て戦争の打撃を受けた福祉施設を中心に資金援助する(市民の)活動として機能
して来た。 しかし、戦後60年以上経った今、社会が大きく変化する中で、さまざ
まな地域福祉の課題に取り組んでいる。
           
  資料を読むと、近年は確かに、児童・青少年、障害児童、高齢者を対象とした事
業のウェイトが高まってきているが、使い道はあくまでも事業別、目的別の総額で
示されている。
  組織図を見ても役員の数や経歴、職員数が記載されていない。役員報酬、職員
の人件費、事務費の明細がなく、対象別・事業別の金額が大まかに記載されてい
るだけである。

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第7話 知ってか知らずか  その1 ★






















           

         
























































































































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