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  こうしたやりとりが続き、用意された議案の審議が終了した時には、午後8時半と
なっていた。
 「その他の項に入ります、何かございませんか?」
  坂本総務部長が理事達の顔を見回す。
 「はい」
  早川の右隣に座っている年上の実直そうな分会長が手を上げる。
 「どうぞ」
 「東6分会の高木です。私は昨年から分会長になりましたが、今年も東野地区募
金協賛委員会総会の案内と、東野地区クリーン札幌衛生推進協議会総会および
研修会の案内が来ました。私は何も知らされていません、町内会の誰が決めてそ
うなったのか?こういう事は事前に本人の了解を取らなくて良いのか?お答えい
ただきたい」
  高木分会長の予期せぬ質問にどう答えたらよいのか、執行部はお互いに顔を見
合わせている。
  誰も答えないと見た坂本総務部長は、
 「町内会の役員になると付随していろいろな仕事が出てきます。新しい役員には
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この点をご理解いただきたいと思います」
 「理事になった時に何も説明はありませんでした」
  なおも高木分会長は食い下がる。今年分会長になった早川の場合も同じで、この
件については釈然としない思いでいた。
 「今後説明するようにしたいと思います。よろしいですね?高木さん。それじゃあ、
本日の理事会はこれで終わります。宮城副会長閉会の挨拶を?」
  と坂本総務部長は早々に〆ようとする。
 「どうしょうもない人達だ」
  高木分会長が独り言を言う。
 「ほんと」  隣から早川もうなづく。

  午後9時近くに晩酌を始めた早川は、町内会の理事会の進め方に腹を立ててい
るうちに、今回の運転免許更新の一連の出来事を思い返していた。
 (何かおかしいのではないか?)
  と疑問が膨らんできた。
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  第一に中央優良運転者免許更新センターの女検査官の対応である。

 「白内障など目に疾患があるかもしれません、良く調べてご覧なさい」
  と言ってくれても良いのではないのか?
  さらに、特別新規申請についての説明がない。
 「仮に白内障の場合は、手術をして治ったら、それを証明する診断書があり、猶予

期間内であれはれば、視力検査と更新講習だけでいつものように更新出来ますよ」
  と言う説明は出来ないのだろうか?この件に関しては当の早川も無知ではある
事は間違いないが、お役所的で不親切な気がする。
  次に、眼科医の説明である。

 「あなたの運転免許の切れるのが7月4日だから、病気治療などの正当な理由が
あれば、来年の1月4日までに更新申請すれば6ヶ月以内となり、更新時講習と適
性検査だけ新しい免許が交付されます。ですから、それまでに手術して視力が回復
すれば良いわけです。あなたの場合は手術が9月2日と7日と決まりましたから、術
後1ヵ月の安定期間と眼鏡の作り直し期間をみても、10月後半には免許更新に行

けますよ」

  こういう説明だと非常に分りやすいのだか゛・・・・・・これも医師法に違反するの
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か?それとも自分の仕事ではないと考えているのか?すでに説明を聞いていると

思っているのか?
  最後に札幌運転免許試験場5番窓口である。
 そもそも「特別新規申請のご案内」は5番窓口が作成した物ではないだろうか?そ
れなのにあの対応は理解できない。運転免許取得者にこの制度を理解させていな
い運転免許講習に腹を立てているのか?中央優良運転者更新センターと眼科医の
早川への説明不足に腹を立てているのか?何も知識がなく問い合わせてくる早川
に腹を立てているのか?

  早川は「運転免許更新制度」についての自分の勉強不足を棚に上げながら、
 (係わったどこかの段階で分りやすく説明してくれたら、この数日間何の不安をも
抱かなかったのに)
  と感じていた。



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第4話 運転免許一時停止  その6 ★★★★★★






















           

         
































































































































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