きれいな花の写真

★とどのつまり Ⅱ

■復刻版
忘れえぬ猫たち


私のお気に入り

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  とどのつまり Ⅱ 作:笹渕忠和本文へジャンプ


23話 猫との知恵比べ
    

 


  玄関内の引き戸は、冬は寒さよけに締め
ておりますが、夏は西日が暑くて開けており
ました。しかし、猫を飼って以来玄関に出な
いよう、真夏でも閉めるように相成りました。

  ところが、ここ数年来、左手の引き戸が少
し空いていて、靴箱の上に2匹の猫が上がっ
ていて、造花のつぼみをむしっているのを見
かけるようになりました。

  老夫婦は「猫が大きい重い引き戸を開け
られるはずもない、人間の閉め忘れだ」と信
じていました。♀のマリは器用でドアも和室の
小さな引き戸も開けます。しかし玄関の大き
な重い引き戸を開けるのは見ておりません。

  まして♂のソムは鈍で、不器用、ドアを開ける事さえ出来ません。上さんはその
鈍のソムが引き戸を開けたのを偶然にも
目撃したのです。器用なマリからノウハウ
を学んだのかもしれません。

  これには困りました。造花を置いてあ
る靴箱の上には、出がけに持っていく物
を忘れないようあらかじめ置いておく事も
よくあるし、靴箱の端にはクリーニング屋
さんの通帳もぶら下げております。

  悩んでいたら、娘が「小さな子供が開
けても開かないよう、柱とドアや戸をつな
ぐベルトを売っているようだ。必要な時に
は解除できるとか・・・」と誰かに聞いてき
て、上さんが早速買ってきて、据え付けた
のが上の写真です。

  開けたい時の取り外しが硬いのが難
点ですが、文句は言えません。これを取
り付けたせいか、せっかく引き戸を開ける
術をマスターした♂のソムは心なしか寂し
そうに見えます。    (2018/04/27)




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