きれいな花の写真

★とどのつまり Ⅱ

■復刻版
忘れえぬ猫たち


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  とどのつまり Ⅱ 作:笹渕忠和本文へジャンプ


第7話 猫用カツオ缶
    

 


  昨年、本棚にあった、辺見 庸 著「も
の食う人びと」( 角川文庫1997年)を見つ
け改めて読み直す。やはり衝撃的だった。

  作者は共同通信社で北京特派員、ハノ
イ支局長、外信部次長を経て1996年退
社。在職中に共同配信していた「もの食う
人々」の連載を単行本として上梓。
  たちまち大反響となり、版を重ね、94年
に講談社ノンフィクション賞・JTB紀行文学
賞を受賞する。文庫化の際に読むが「驚愕
のルポルタージュ」「ど胆を抜く作品」「斬新
な視点」という評判の通りだった。

  次の1節は、作者がバンコック周辺の缶

詰工場を見学した時の話である。
【  過酷な職場環境の中で、蒸しカツオが
冷めたら、タイ人女性たちの立ち詰めの手
作業が始まる。ナイフでカツオの頭を落と
し、皮を削る。胴体を4つに割って、骨を抜
く。さらに血合いと白身を指先で分類する。
血合いが猫用、白身が人間用フレークだ。
8時間労働で日給575円、月1万5,000
円程度だ。
  取材後は、稲作農家出身の寮住み込みの16歳の女性に話を聞く。「日本の猫のた
めの缶詰を作っていること、どう思う?」
  彼女は怒って答える。「関係ない。ただ
働いているだけよ」
  だが、質問されなければならないのは、
私たちの方なのだ。「あなたの家の猫が食べているその缶詰が、どうやってできたものか想像してみたことがありますか?」と・・・  】

  今思えば、本を読んだ21年前は、猫を
飼っていなかったので、この1節「食と想像
力」の意味するところが分からなかった。
              (2018/01/08)
   


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