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★とどのつまり

■復刻版
忘れえぬ猫たち


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小説「猫踏んじゃった」

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  とどのつまり 作:笹渕忠和本文へジャンプ


第20話 労を惜しむと
    

 


  右の島内裕子氏校訂・訳の「徒然草」
(ちくま学芸文庫;2010年版)を約半年かけ
て、少しずつ読んでようやく読み終えたが、
現代語訳がくどくて分かりにくい。

  そのため、今度は左の小川剛生訳注
「徒然草」(角川ソフィア文庫;2016年版)

買い求めます。こちらの本は、古文の教科
書のように原文が上段にあり、下段に注釈
が並んでいます。前半の原文と後半の現
代語訳が離れているため、読むのが面倒
と最初の選択から外した「徒然草」です。
 
 いま、改めて2人の訳を比較してみると、
かくも違うものかと驚いています。

  例えば有名な序段の「徒然なるままに、

日暮らし、硯に向かひて、心にうつりゆく由

無し事を、そこはかとなく書き付ければ、あ

やしうこそ物狂ほしけれ」ですが、

  島内版では「さしあたってしなければなら
ないということもないという徒然の状態が、
このところずっと続いている。こんな時に一
番よいのは、心に浮かんでは消え、消えて
は浮かぶ想念を書き留めてみることであっ
て・・・(この後倍ぐらい訳が続く)」
とあり、

  小川版では、
「無聊孤独であるのに任せ
て、一日中、硯と向かい合って、心に浮か

んでは消える他愛のない事柄を、とりとめも

なくかきつけてみると、妙におかしな気分に

なってくる」と非常に分かりやすく、簡単明

瞭な訳である。

  買う前に現代語訳までよく比べれば、2
冊も買わなくて良かったのに、せっかちで
「労を惜しんではこうなる」という見本です。
   
          (2017/03/20)




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