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●小説
 「猫踏んじゃったⅡ」


小説「猫踏んじゃった」
喜劇「猫じゃら行進曲」
小説「眠れない猫」

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35 アラスカ物語


             
  今回は新田次郎著「アラスカ物
語」(新潮文庫)です。この本は昭
和55年に一度買い、処分した後
また読みたくなって昭和62年に
20刷をふたたび買い求めたもの
です。経年変化で、本文が番茶色
に変わっています。
  なぜ、この本はこんなに人を惹きつけるのか?それはかつて実在した東北の1人
の日本人が飢餓にあえぐエスキモーをモーゼのように新天地に移住させ、救ったと言
う驚きの物語だからなのです。
  主人公の安田恭輔は、明治元年宮城県石巻町生まれで、15歳の時に父母を失い、
三菱汽船の給仕から、外国航路の見習い船員になり、サンフランシスコで働いた後に
米国沿岸警備船の船員となります。ベアー号を救助した後、ポイントバローに定住し、
エスキモーの女性ネビロと結婚し、エスキモーの指導者となります。そして不漁で飢え
たエスキモーを内陸に誘導し、理想郷を作ったといいいます。
  新田次郎は、アラスカに飛んで、安田の移動した経路を技術者の視線で丹念に調
査すると共に、アラスカと日本に残る安田の末裔に直接話を聞いて、この本を書き上
げたと言います。1人の日本人の数奇な運命と軌跡を真摯に、かつ淡々と書き綴っ
た新田次郎の姿勢は素晴らしく、何度読んでも感動します。   (2016/03/05)

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