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  問題は葬式だった。義母の登志子の親戚は留萌周辺に大勢いる。遠くからでも
お参りしてくれる親戚ばかりだから、妻の景子は、まずは一番親しかった叔母に登
志子が亡くなった事を知らせ、「葬儀日程と場所は追って連絡するから、お手数で
すが、周囲の人に知らせて欲しい」と頼む。
  会社でいつも葬式を手伝っている早川は、留萌の近藤家のお寺に電話し、東区
の近くの真言宗のお寺を紹介してもらう。そうして、そのお寺に電話し、まずは枕経
を上げに来てもらい、「翌日通夜、翌々日の葬儀が可能かどうか」確かめる。次に、
会社で付き合いのある角善社東区斎場を予約する。そして、近藤家の親戚、早川
家の親戚、早川の会社に連絡する。こうして、妻の景子は喪主となり、早川は施主
となった。

  早川が、葬儀委員長や手伝いをどうするか?思案していたところに、気配を察し
たのか、猫飼分会長が自宅に弔問にやって来た。ひととおり、故人の療養経過を
聞いてから、
  「葬儀日程は?葬儀会場は?・・・もうお決まりですか?お手伝いは?・・・町内
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会では何でもお手伝いしますから、お申し付けください。みんな慣れていますから、
ご心配なく・・・」
  と親切に言ってくれる。
  (義母だから、手伝いを会社の人に頼むわけにはいかない)
  そう思っていた早川には町内会の申し出は渡りに船だった。
  「お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします」 
  と早川は返事する。
  2時間もすると、早速、東野町内会の総務部長ほか数人がやってきて、葬儀委
員長は○○町内会長、総務係、接待係ほか、ばたばたと決めていった。まことに
手慣れたものであった。ただし、受付係だけは早川の会社の申し出で、早川の部
下が手伝ってくれる事となった。

  「葬儀は他人がやってくれるもんだ」と早川は昔から聞いていたが、実際にその
立場になってみると、その時その時で決めなければならない事がつづき、そうは
いかない事も分かった。
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  翌々日、葬儀を終え、火葬場からもどり、繰上げ法要を終え、妻の景子に代わ
り、親戚に謝辞を申し上げ、お坊さんと親戚を送り出して、ようやく一大行事が終
わった。長い長い2日間だった。

  「やれやれ、無事終わったか・・・」 早川が妻の景子に話しかける。
  「あなたこそ、大変だったわね」
  そう言う妻の景子は義母登志子の看護疲れも重なり、かなりやつれている。
  「早く休んだ方がいいよ」
  「町内会のおばさんたちには疲れちゃった」
  「どうした?」
  「こちらの都合を聞かず、全部向こうが決めるんですもの・・・葬儀委員長のお礼
はいくら、男の手伝いにはビール券何人分、女の手伝いにはパンスト何人分など
など最初から細かく指示するんだもん・・・どうにかお香典で間に合ったからよいも
のの、そうでなかったらとても失礼な話よ」
  「いくら手慣れているからって、それはひどい話だなぁ」
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  どうやら妻の疲れの原因はここにあったようである。
  義母登志子の葬式にあたって、町内会と早川との間には以上のような出来事が
あった。

  葬式を出した事のない遺族にとって、町内会のお手伝いはありがたい話である
が、遺族の意向をどれほど汲んでいるか疑問が残る。葬儀委員長をやりたくて、町
内会長を長く続ける人もいるという。その葬儀委員長の謝礼にしても一般庶民には
高すぎる。このような、町内会のなかばセミプロみたいな葬式のやり方がだんだん
敬遠されてきているは事実である。
  最近の葬式は、老齢化社会となつて参列者の減少もあり、小さな会場で葬儀屋
が一切を仕切る方式が増えている。パックで○○万円という葬儀である。そして葬
儀委員長もいないケースも多い・・・

  ♭ まわるまわるよ 時代はまわる 別れと出会いを繰り返し・・・
                       中島みゆき 作詞:作曲:唄 「時代」より

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第4話 時代はまわる  その6 ★★★★★★






















           

         




























































































































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