きれいな花の写真

★私のお気に入り


●小説
 「猫踏んじゃったⅡ」


小説「猫踏んじゃった」
喜劇「猫じゃら行進曲」
小説「眠れない猫」

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26 藍染の暖簾


             
  大学は出欠の取らない文科系
でしたから、よく講義をさぼって狸
小路か北24条でパチンコをし、
勝てば3本立ての映画を見て、お
酒を飲んで帰ったものです。
  とは言っても、当時流行のキャ
バレー、ハワイやロンドン行く度
胸やお金もなく、狸小路のはずれや北24条電停近くの、焼き鳥屋か焼き魚屋かお
でん屋がもっぱらでした。今のように、焼肉屋とかイタリアンのない時代でした。
  酒飲みの勘で、店の構えや暖簾を見ると、その店の歴史や、流行り具合やお値段
が推察できます。お店も自転車操業ですから、暖簾にしてもお世辞にもきれいとは言
えません。客も少なく、連れがいないのが普通で、黙々と飲んでいます。店主も客も
寡黙で、注文のやり取り以外は余計な会話がありません。店主も客も猫族なのか、お
互い静寂を楽しんでいるかのようです。そこが良いとも言えます。
  退職してから、東急デパートの東北物産展を見ていると、ひょうたんを描いた藍染の
小さい暖簾が売っていました。とても洒落ています。ふと、昔通った居酒屋を思い出し、
ついつい買ってしまいました。かけたのはわが家の仏間で、ふさわしくないと言えばふ
さわしくないのですが、仏様に勘弁してもらってかけております。品物が良いのか、何
年経っても、何度洗っても、色があせず気に入っています。     (2016/02/13)

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