第22話 毛がにのかき揚げ
オホーツク産毛がには流氷明け
に獲れるのが普通ですが、太平洋
産毛がには年が明ける前に取れ
始めます。厳密にいうと両者の味
は違います。プランクトンの違いか、
前者は味に深みがあり、後者は淡
白に感じます。
店頭で太平洋産毛がにを見つけたおじさんは早速買い求めます。オホーツク産毛が
にが獲れる春まで待てないのです。 上さんに亡きお婆さん直伝の毛がにかき揚げを
作ってもらうためです。お婆さんの故郷、オホーツクの港町湧別で、流氷が去り毛がに
が獲れる頃、よく作ったという、昔から伝わる春のご馳走です。水で溶いた小麦粉に、
ほぐした毛がにの身とスライスした玉ねぎと三つ葉をを入れ、かき揚げを作ります。
ふだんは、揚げたてのかき揚げをうすい出し汁にさっと浸して、温かいご飯の上にの
せ、毛がにのかき揚げ丼にしていただきます。残れば翌日うどんにのせて食べます。
今日は格別寒く感じましたので、鍋焼きを作ってもらいました。鰹節と昆布でとった
出し汁を鍋に入れ、ゆでうどんを入れ、その上にかにのかき揚げ・干し椎茸・ほうれん
草・長ネギ・生卵をのせ、ふたをして沸騰すれば熱々の鍋焼きが完成です。ふたを開
けると、部屋中にかき揚げの芳ばしい香が飛び交います。オホーツク産を待ちきれな
くて食べたせいか、太平洋産でもとても美味しく感じます。 (2015/12/02)
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